９　井内峠・白猪峠

　井内峠（一〇八八㍍）には、クマガイソウ、トサノモミジガサ、ジガバチソウ、ハマカンギク、ヤマブキソウ、エビネ、六月のころ美しい姿を見せるノビネチドリなどがある。また、屋根づたいには、ツクシシャクナゲが多く、花のころには、想像以上の美観を呈する。その他、フサザクラ、ホウノキ、ミズナラ、リョウブ、アワブキ、ナンキンナナカマドなどの広葉木のほか、モミ、ツガ、まれには、ゴヨウマツの自生も見られる。また、カエデの類も多いので、その紅葉も見事である。
　白猪峠周辺には、ウチョウラン、ウメバチソウ、イワギリソウ、キツリフネ、ホテイシダ、ミヤマイタチシダ、クロタキカズラ、ハルトラノオ、ルリイチゲ、シコクカツコウソウなど珍しい植物が多い。
　井内峠から直瀬へ出る道々には、イナモリソウ、ヤマジオウ、湿地にはモウセンゴケもあって、捕虫の様子もおもしろい。ここにもフクリンササユリが多く、花時には、香気が高く、山道の寂しさを忘れさせてくれる。
　直瀬の駄場では、実に白い毛をつけるオキナグサのほか、アイバソウ、フナバラソウ、畑では、帰化植物のグンバイナズナが珍しい。