データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

追刊 中山町誌

第三節 自然保護

 一、ホタル
 中山町では昭和三〇年代後半まで、非常にたくさんのゲンジホタルが見られた。ところが四〇年代に入ると、農薬汚染、河川工事、圃場工事、生活排水等により急激に減少し、五〇年代に入るとほぼ絶滅状態となってしまった。
 昭和六一年四月伊予中山ホタル保存会が民間団体として発足し、翌六二年六月第一回伊予中山ホタル祭りを実施、同時にゲンジホタルの養殖に取り組んだ。最初の頃少なかった幼虫の放流も、ここ一〇年ほどは三〇~四〇万匹、放流箇所も町内全域に満遍なく行っている。養殖のメリットは、中山町において羽化の確立を高めるだけでなく、高速道路の附帯工事・河川工事などで絶滅状態になった場所に、カワニナと幼虫を放流することにより復活させることができることである。
 ホタル保存会の活動は、ホタルに限らず、河川の環境保全運動や自然を守る啓発活動にも展開している。
 ホタルだけでなく小動物も生きていける環境保全をめざして河川工事への働きかけをし、本町では、一〇余年前より町内の河川工事については、すべて自然石による石積み工法となった。同時に一年間の工事予定書が提出され、工事施工業者による工事内容の説明書が届けられ、随時内容の確認ができる。
また早々に下水道の終末処理場も完備した。
 さらに中山町にある中山・佐礼谷・野中・永木小学校の四校の生徒達に順番にホタルの放流を手伝ってもらうことをきっかけに、子ども達が自主的に川の清掃をするようになるなど、自然にふれあい守っていく大切さを認識してもらうきっかけとなっている。
 ホタル祭りも現在第一八回を迎えるまでになった。ホタル祭りでは、中山川の自然のなかでゲンジホタルの乱舞が見られるだけでなく、祭り会場ではホタル飼育箱のホタルのメス・オスの違いやガーゼに産卵したホタルの卵も見ることができる。
 五月下旬~六月中旬にかけて、中山町のホタルは見事で、中山、拝鷹、藤ノ郷、栗田川の全域で三〇万頭以上のホタルが乱舞しているものと思われる。