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双海町誌

第五節 物産

一 双海の特産品
 昭和三十年代後半から四十年代前半にかけて、我が国は地方から都市へと若者が流出するようになった。特に四国や九州・東北・北海道などではその傾向が強く、都市の過密とは対照的に地方は過疎となり、大きな社会問題となっていった。
 こうした状況を打破し、地域に活力を取り戻そうと起こったのが、村おこし運動であった。
 大分県の一村一品運動に代表されるように、地域の特産品を活用して付加価値の高い商品を生み出すなど、地域のもつ秘められた活力を、地域の人々自身の手で引き出していこうとする村おこしの試みが各地で行われた。その中心は、「村おこし御三家」といわれる漬物や土地饅頭などの「特産品づくり」、地酒・ワインなどの「アルコール類づくり」、太鼓などの「自慢づくり」であった。
 本町でも、商工会が中心となって国や県の助成を受けて村おこし事業への取り組みが行われ、昭和六十年にその推進母体として村おこし事業実行委員会が設立され、活動がスタートした。特産品の試作研究発表会・観光アイディア募集・村おこし講演会・先進地視察など、様々な事業が企画され、地域活性化に向けた取り組みがなされた。
 本町はそれまで、特産品といえば共栄網の生産する煮干しと温州みかんが中心で、これといった特産品がなかったが、村おこし事業に取り組んだ結果、一九八六(昭和六十一)年十月に六品目、同年十二月に一一品目、合わせて一七品目が双海の特産品に認定された。
 その品目は次のとおりであった。
■煮干しいわし
・特色…澄んだ伊予灘でとれたイワシを、近代的な設備で「煮干しいりこ」に加工。そのままでビールやお酒のおつまみに、味噌につけてご飯のおかずにおすすめ。また、味噌汁や煮物のだしにも最適。
・販売価格…五〇〇グラム入りパックが五〇〇円
・生産者…共栄網
■つわぶき味噌漬・粕漬
・特色…野山に自生するつわぶきをていねいに漬け込んだ。ほろ苦さがいい。
・販売価格…二〇〇グラム入り三〇〇円
・生産者…満野生活改善グループ
■かりん棒
・特色…双海の特産品であるイリコ、ヒジキ、ワカメ、ミカン、ポンカン、シイタケを粉末にし、小麦粉でつないでカリン糖風に仕上げた。カルシウム、リン、鉄分などを含み栄養豊富。子どものおやつに最適。
・販売価格…一○○グラム入り一袋二五〇円(六種類)
・生産者…上浜大下商店
■いりこ味噌
・特色…双海でとれたイリコを原料にピーナッツ、ユズ、ショウガを加えて製造。ハチミツ入りでちょっと甘め。
・販売価格…一〇〇グラム入り三〇〇円
・生産者…上灘漁協婦人部
■美杉ハウス86
・特色…間伐材を利用して、ていねいにしかも格安な「離れ」を製造。和風タイプは六畳と三畳の和室で、外壁には一部に焼杉を使用。洋風タイプは六畳と四・五畳で、壁はクロス張り、屋根はスレート葺き。
・販売価格…和室タイプ一二○万円/洋室タイプ一○○万円
・生産者…日喰 (有)北ハ栄木材
■イリコ佃煮
・特色…新鮮なイリコをみりん、さとう、しょうゆ、ショウガで味付け。ご飯のおかずやお酒のつまみにぴったり。
・販売価格…七〇グラム入り一〇〇円
・生産者…小網土曜会
■太刀魚みりん干
・特色…銀鱗まぶしい太刀魚を三枚におろして、みりんのたれをつけて珍味に仕上げたぜいたくな逸品。
・生産者…藤岡海産
■三歳醤油
・特色…その名のとおり、三年の歳月をかけて醸造した、まろやかな舌ざわりのさしみ醤油。
・生産者…閏木醤油店
■ミ カ ン
・特色…瀬戸の潮風と陽光を一杯に受けて育ったミカン。味は日本一。
・生産者…上灘・下灘園芸組合
■マーマレードージャム
・特色…太陽の光をいっぱいに受けて育った甘夏ミカンを利用した手づくり品。素朴な味わい。
・生産者…池窪生活改善グループ
■ゴマカレイ
・特色…伊予灘でとれたアカシタカレイに砂糖・ゴマ・からしなどで味付けした、カルシウム食品。
・生産者…浜岡海産
■グリーンレモン
・特色…県の特産銘柄に指定されているグリーンレモン。ロマンの香りいっぱい。
・生産者…上灘・下灘園芸組合
■干しえび
・特色…新鮮なエビをたたんで、むきエビにしたもので、おつまみや料理に最適。高級贈答品としてもおすすめ。
・生産者…上灘漁協
■味付イリコ
・特色…煮干しイリコに味付けしたもので、のり、ごま、子持ちがある。子どものおやつ、おつまみに最適。
・生産者…上田海産(有)
■キウイフルーツ
・特色…温暖な瀬戸内の気候が生んだビタミン一杯の果物。さわやかな酸味。
・生産者…上灘・下灘園芸組合
■シイタケ
・特色…山ふところの自然の恵みをいっぱい受けた健康食品。
・生産者…双海町森林組合
■太刀魚骨昧付
・特色…太刀魚の骨をそのまま味付けした珍味。パリッとした歯応えが自慢の逸品。
・生産者…藤岡海産
 これらの特産品は、昭和六十一年、そごう百貨店で開催された村おこし発表会や、松山駅での村おこし産品まつりにおいて出品販売され、好評を博した。しかしながら、今後は、こういったイベントでの販売のみならず、継続的な販路の開拓が急務であり、更にその前提となる常時生産の体制を整えることも必要である。


二 特産品センターふたみんC
 一九九五(平成七)年三月十六日、ふたみシーサイド公園に特産品センターふたみんCがオープンした。さわやかな潮風につつまれた建物には、地元産の手づくり自然食品、水産加工食品など、海の幸、山の幸が目白押し。夕焼けアイスクリームなど新しい双海の名物や、思わぬ地元の工芸品も並んでいる。
 また、練り製品のコーナーでは、上灘漁協女性部加工部員二四名が交代で、ヒット商品のジャコ天、鯛めし、ちくわ、たこ焼きなどを製造即売している。二〇〇三(平成十五)年度の年間売上は四七〇〇万円を超えており、特産品センターに遜色ない売れ行きである。
 食品の安全性に対する消費者の関心の高まりや、高品質、健康性、多品目、低価格、個別的なものがより一層求めらているといった最近の消費傾向から、特産品センターへの注目度は高い。また、平成十四年度に新設された特産品加工工場における各種特産品の開発も期待されている。