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双海町誌

第六節 森林組合

 森林組合は、明治十年代後半ごろから森林組合の萌芽的形態である森林所有者の組織が各地方にでき始めており、一九〇七(明治四十)年に至って森林法の全面改正に伴って初めて法律上の制度となった。当時森林は、乱伐、盗伐、火災などによって極度に荒廃していた。当時は小規模森林所有者対策が重視されており、大規模森林所有者と同程度の経営効率化を目指して、区域に森林を所有する者を全員強制的に組合に加入させることで、組合員所有森林面積の拡大を図った。
 更に組合設立を促進するために一九一一 (明治四十四)年には「森林組合設立奨励規則」が公布されたこともあり、組合数は一気に増加した。当時保護・施業・造林・土工の四種の組合設立のなかでも、林道事業が活動の中心となっている。
 一九三九(昭和十四)年、森林法が改正されたのを機に、組合活動をより活性化するため「森林組合は組合員の森林を自ら施業し、又は調整して森林の保護を図ること」を目的に事業内容の見直しが行われた。森林組合数は一九四一 (昭和十六)年ごろに最多となり、昭和二十六年には現在のように組合への加入が自由になった。
 その後、一九六〇(昭和三十五)年の丸太輸入の全面自由化以来、組合事業の中核を占める林産事業が年々不振の一途をたどり、森林、林業、林産業を取りまく環境も大きく変化することとなる。森林組合もこういった時代の流れに対応する必要から、流域管理システムの下で組合の合併による経営基盤の大型化が進められていった。
 双海地域においては、昭和十六年に上灘森林組合、下灘森林組合がそれぞれ発足した。その後上灘町と下灘村の合併で双海町となったのに合わせ、昭和三十五年六月十七日に森林組合も双海町森林組合となった。そして、双海町・伊予市・中山町の三組合による広域合併に伴って、平成十六年四月一日から伊予森林組合が発足し現在に至っている。なお、事務所は中山町を本所とし、双海町、伊予市は支所として事業に当たっている。
 森林組合は制度化以来、宿命的な小規模分散的所有形態のなかで、その時代に即した重要な役割を果たしてきた。特に、林業の作業環境は足場の悪い傾斜地がほとんどで、しかも重くて長大な木材の伐採、搬出などは危険を伴う作業が多いため、熟練した技能を身につけた専門家でチームを編成し、作業に当たらなければならない。長年このような作業を指導・支援してきた森林組合に寄せる信頼は大きいものがある。
 今後は従来の経済的役割に加えて、地球的規模で悪化が懸念されている環境保全面への対応や、過疎化が続く中山間地域のなかで、適切な森林管理と林業振興などを図り、地域の暮らしを守っていくうえで森林組合は、かけがえのない担い手として、その役割が期待されている。


歴代組合長 下灘村森林組合

歴代組合長 下灘村森林組合


歴代組合長 上灘町森林組合

歴代組合長 上灘町森林組合


歴代組合長 双海町森林組合

歴代組合長 双海町森林組合