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双海町誌

第二節 上灘町と下灘村の合併①

一 合併へのあゆみ
 一九五三(昭和二十八)年九月に公布された町村合併促進法は、その第一条で「この法律は町村が町村合併により、その組織及び運営を合理的且つ能率的にし、住民の福祉を増進するように規模の適正化を図ることを積極的に促進し、もって、町村における地方自治の本旨の充分な実現に資することを目的とする」とうたっていた。
 町村合併に関しては、昭和二十八年十月二日付けで愛媛県知事久松定武より上灘町長・下灘村長宛てで「町村合併促進法に基づく諸案について」の通知があったのをはじめとして、翌二十九年十二月までに五〇余回にわたり関係公文書が送付されてきた。
 上灘町長・下灘村長は、町村議会や町村内各種団体機関と協議を重ねたが、「貧乏人が二人寄っても結果は同じ」「合併したら部落末端への行政が薄れる」等々の反対意見が続出した。賛成者のなかにも、上灘町では佐礼谷と合併して上灘町を温存するべきという意見や、下灘村は石畳と合併して下灘村を存続しようという意見があった。また、伊予郡が一緒になって伊予市制をとるべきだという意見もあった。これは、当時の上灘・下灘間のライバル意識が微妙に絡み合った結果といえよう。結局、佐礼谷は中山町へ、石畳は内子町へ、南・北山崎村は郡中町と合併して伊予市として発足する動きなど、周囲の情勢が固定化し始めたので、以後は上灘町・下灘村が対等合併の線で協議を続行することとなった。
 結局、両町村の合併は、「合併が適当である町村が故意に合併しない場合は、国は以後平衡交付金等の財政援助を保証しない」とか、「合併したら特別補助金を交付する」「合併町村には、事業に対する起債等に対して特別処置を講じる」等々の、国・県の実利的指導が決め手となった。
 当時の町村は、戦後の郷土諸整備事業に莫大な経費を投じており、国家の財政援助なくしてはどうしようもない状態だった(現在でも本町は、町費の約九〇パーセントを国・県の交付金や各種補助金等に依存している。これを称して一割自治という)。
 一九五五(昭和三十)年三月三十日をもって、明治二十三年以来六五年間続いた上灘町・下灘村は、その幕を閉じ、昭和三十年三月三十一日付けで双海町が誕生したのである。

二 関係文書と新町建設計画
 合併の焦点は、上・下灘の諸要求事項をどう調整し、実現するかにあった。新町建設計画はそのような配慮のもと、両者の合意のうえで作成された。
 内容は相当の事業量であったため、国・県の財政援助がなくては到底実現しがたいものであった(本町発足後に改変されたためいまだに実現しない事業も多い)。しかし、当時どのような双海町を建設しようとしたかを知る唯一の資料であるから、原文どおり記載することとする。
 なお、昭和三十年議案第二五号で、下灘村長松田彌太郎が、昭和三十年三月二十二日、下灘村議会に同様案文の新町建設計画についてを提出、同日の村議会で原案可決された。下灘村議会議長嶝本喜太郎が原本と相違ないことを認証している。

附属書類
一、県道の整備について
1、郡中、長浜線は海岸に沿う唯一の重要な道路であって、その交通量は日増しに増加しているが、幅員狭少のため自動車の対面交通は勿論、諸車の進行に支障を来し、あまつさえ災害の都度、甚大なる被害を蒙りつつある現状にかんがみ速やかなる復旧と幅員の拡張、待避場の整備、護岸の補強を要望する。
2、上灘、中山線は僅か一、〇〇〇メートルを残して未開通の現状であるが、この道路は中山町及び周囲の資源の集散に重要な役割を果たすものであるから速やかに開通するよう要望する。
3、内子、上灘線は内山地区と密接な関係を有し本町発達上最も重要な道路であるので速やかなる完成方を要望する。
4、現に改修中並に未着手である次の県道は産業交通上最も重要な道路であるので速やかなる完成方を要望する。
①下灘、内子線の改修       延長六、〇〇〇メートル
②下灘、中山線の改修(未着手)  延長六、五〇〇メートル
5、小田町、上灘線の幅員の拡張、待避場の整備を要望する。
6、愛媛県立松山南高等学校上灘分校を独立高等学校とするよう要望する。



愛媛県告示第一四八号

愛媛県告示第一四八号


新町建設計画決定書

新町建設計画決定書


新町建設計画 1

新町建設計画 1


新町建設計画 2

新町建設計画 2


新町建設計画 3

新町建設計画 3


新町建設計画 4

新町建設計画 4


新町建設計画のための新規事業の五カ年事業費調

新町建設計画のための新規事業の五カ年事業費調


新町建設計画のための新規事業財源調

新町建設計画のための新規事業財源調


町債償還計画表

町債償還計画表


昭和二九年度及爾後五カ年の財政計画

昭和二九年度及爾後五カ年の財政計画