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双海町誌

第一節 概要

 本町は国内でも温暖で、しかも降水量の少ない瀬戸内気候に属している。
 南側に遠く四国山地の連山を背負い、近くは東に明神山、南に牛ノ峯・黒山、南西に壷神山などの山岳に囲まれ、北面は伊予灘が開けている。更にその北方は防予諸島を経て中国山地が東西に延びていることから、本町はさしずめ「箱庭の中の町」ともいえる。
 双海地域の気候の特質は、瀬戸内気候のため降雨量が少ないことである。四国山地を隔てた高知市と九州の熊本市との降水量を比較すると一目瞭然である。
 降水量が少ない理由は、瀬戸内海へ夏は太平洋側から、冬は日本海側から吹く風にある。六月から七月にかけては、太平洋の水分を蓄えた梅雨前線が日本列島に大量の雨をもたらし、八月から十月にかけては台風が大量の雨を降らせる。太平洋側の高知県・徳島県では記録的な豪雨を観測することが多いが、四国山地に遮られた瀬戸内地域では、降雨量はさほどでもない。
 十一月下旬ごろから、シベリア大陸の寒気が日本列島へ南下を始める。この寒気は日本海で水分を貯え、中国地方に雪を降らせる。その後、水分が減少した寒気が「空っ風」となって本町へ現れる。波静かな瀬戸の海を、白馬乱舞する冬の海へと変容させる北西からの季節風である。
 この季節風は、十二月・一月・二月ときには三月半ばまで吹き荒れ、本町の生活と産業に強く影響してきた。海からの風を直接受ける地域の家は板張りや防風垣を備えている。海側に沿って東西に走行する国道三七八号は、この西風で生じる激浪に対し防波堤や消波ブロックでガードされている。更に沖合いの要所ごとに離岸堤を設置している。
 この季節風に最も影響を受ける産業は、漁船漁法による漁業である。優れた船体・強い推進力・高度な設備を備える近代漁船でさえ、冬海三か月で出漁できる日は一五日前後であり、この風は、「うど西」などといわれる。本町の主産業である果樹園芸も、スギなどの防風林で保護されているが、病虫害の元にならないように管理に注意しなければならない。
 冬季、奥地部では数日間の積雪や霜が見られ、ビワの花や幼果実が被害を受ける。海岸部は降雪があってもその日のうちに溶ける場合が多い。
  更に本町の天候を両谷・西尾清隆の天候日記から集計すると次のとおりである。

月別年間降雨量

月別年間降雨量


月別気温・降水量の比較

月別気温・降水量の比較


太平洋側と日本海側の気候

太平洋側と日本海側の気候


月別気温・降水量の比較

月別気温・降水量の比較


本町の天候 1

本町の天候 1


本町の天候 2

本町の天候 2


本町の天候 3

本町の天候 3


本町の天気

本町の天気