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中山町誌

第一節 郷土芸能

 郷土芸能とか民俗芸能とか呼ばれるものには、それぞれの道での玄人が演ずる芸術的なものから、その土地の誰でもが祭りになると急に張り切って太鼓をたたいたり踊ったり歌ったりするようなものとがある。
 例えば祭り囃子だとか神楽、盆踊り等は後者に属し、土地の民衆が昔から自分達の手で伝承してきたもの、また近郷の先進地から習い覚えて持ち帰ったものを村人達に広めたものがある。
 つまりこれらは民謡と同じ様に、誰が、いつ頃から始めたかは問題ではなく、昔から慣習的にその土地ごとにみんなで受け継いできた芸能なのである。その演技は拙く素朴であっても、長い歴史を刻みつつ伝承されてきた文化遺産といえる。
 民謡と少し異なる点があるとすれば信仰との結びつきが非常に強いという点であり、大凡のものが祭りの為の芸能だということである。昔から豊作を願い(春祭)、また祝っていた村祭(秋祭)の行事として行われてきたものが多く、戦前までは数多く伝えられていたが、現在は随分と少なくなってきた。近年になり郷土の伝統芸能として見直され、復活しつつあるものもあり、そのいくつかについて述べることにする。