データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

中山町誌

一、 自然伝説

⑤蕎麦の由来
 昔、罪人は一二月二〇日には必ず首を切られていた。食事のたくあん三きれ、頭のない魚がその日の印だった。その日には罪人に、何でも食べたいものを食べさせていた。
 ある罪人が蕎麦を食べたいと言ったが、蕎麦ができるまでに七五日かかるので、その罪人に蕎麦を食べさせて首を切ったのは七五日経ってからであった。それで初物を食べると寿命が七五日延びるという。その時、首を切った血が蕎麦の茎にかかり、以来蕎麦の茎は赤くなったという。  (添賀)

⑥ 武士の力競べ
 昔、階上城の力自慢の武士二人が障子山と階上山から石の投げ合いをし、又それぞれのふもとの部落がこれを応援した。投げた石は二つとも雨翅に落ち、二つの部落は仲直りをした。今も雨翅には幅約一メートル、高さ約三メートルの青石の平石が二個あるという。  (栗田)

⑦ ハマ石
 重藤に、ハマ石と呼ばれる石がある。それは永木の天山を天狗が歩いていた時に、下駄のハマにはさまった石をふり落したものだといい、大きさは一・五立方メートル位だという。  (重藤)
 地名に関する伝説は地名の項(地名の由来)を参照されたい。

⑧ 弘法清水
 大矢には御大師様が杖で突いて出した清水があるという。弘法大師が、お遍路の途中に立ち寄った村で、お茶をお婆さんに所望した。お婆さんは「はい、よございます」と言ってお茶をさし出した。大矢という所は山の上なので大師が「どこから持って来たのか」と尋ねると、下の谷から汲んで来ましたと答えた。親切にしてもらったお礼に、大師は杖を突いて清水を出してやったという。それからは、ずっと大矢では水の不自由はしなかったという。  (村中)