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中山町誌

一〇、 八月

 七夕祭
 六日 笹飾り。子供達は朝早く稲の葉や芋の葉の露を採ってきて墨を磨り、色紙の短冊に「天の川」とか、自分の願い事などを書いて笹に吊し、庭先や縁先に立てた。一方縁先には、西瓜・きゅうり・なす等季節の野菜を供えて七夕様をお祝いした。
 夜は平地部の子供達は、赤提灯(俗称おわいこ提灯)を灯し、連れだって歩いた。男の子は野菜で作った提灯、女の子は赤提灯にきれいな浴衣を着て、「おおめらまっちゃんようおいでた」などといいながら町内や神社の境内を歩いた。「おおめらまっちゃん」の意味はわからない。

 七夕様に着物を貸す風習
 七夕様に着物を貸してあげる風習がある。七夕さんは、年に一度、彦星と織姫が会う日である。女子の立派な着物に帯を添えて供え、ご飯をあげたりした。また、七夕さんは男女だからと男女の浴衣を供え「七夕さんに貸してあげる」「これを着て会いに行ってください」等と言ったという。
 お年寄のご婦人はよく憶えていたが、終戦後は次第に止んで、現在では土用干しと同じ感じになっている。

 笹流し
 七日の夕方になると、食べるものは食べ、それ以外は川に流したり、そのまま虫や鳥のおどしに使ったりする。なお笹飾りは、町分では昭和五〇年頃からすたれ保育園児の小さい笹飾り位しか見られない。

 井戸替え
 七夕には井戸替えをした。一年中の汚れた水を出してきれいな水にするためである。梅雨も終わった時期で一度掃除をするのによい季節だという古老もいた。