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中山町誌

三、 建築工程と儀礼

 家を建てる前には、地形・水・風向・日照・仕事の都合などを考えて屋敷を選び、家地が決まると、神官に依頼して地鎮祭を行い、続いて基礎を搗き固めた。
 昔は、隣近所、親戚など大勢が集まって「胴突き」で、地固めをした。棟上げは、吉日を選んで行い、棟が上がるまで組内の者は手伝い、棟梁が主催して上棟式を行う。
 儀式が終わると撒餅である。まずお重ねの四方堅から敷き、小餅を一俵ないし二俵ほど撒餅するのである。四方固めは北、南、東、西の順序で敷く。最後に神饌を投げるのであるが、これを「おおどみ」といって棟梁が上台、家主が下台を投げる。
 親戚の者はこの日八木などの祝儀を贈る。撒餅のあと祝いの宴がもたれ、大工には祝儀を渡す。棟上祭りの飾りものの中、御へいとかぶら矢だけは棟木へ取りつけて残し、鬼の矢をはじめボンデンほか供え物一式に八木・酒樽・肴・祝儀を添えて、棟梁の家まで届けた。これを大工送りと呼んだ。大工送りのときは、その途中出合った人々には酒・肴をふるまったそうである。棟梁の家ではこれら使いの者に、樽ひろめと称して、心安い者や弟子達と祝宴を開いたものであった。