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中山町誌

三、 村落を支える集団

 村落を支える集団……このような呼び方が適当だろうかと思うふしもあるが、つぎのように考えた。

 青年団
 青年団の起源は古く明治以前から存在し、「若連中」・「若者組」といったものが各地区にあり、農事や地区内の行事に協力していた。
 明治の末、青年会が結成され、団体の仕事として祭の行事・公益事業・夜学等をした。その後、青年団となり終戦まで、その時代その時代の要請に応じ、国・地域の行事に協力したり、修養活動をしたものである。
 戦後は、民主的な青年団となり、スポーツ・指導者の育成・産業活動等の活動を力強く進めてきた。
 現在では、青年が町外に就職する場合が多く、団員数の減少などによって、団活動に支障を来たし勝ちである。そういう状況の中で、青年団はスポーツや各種イベントの協力活動をしている。

 消防組織
 現在の「消防団」は、七〇年位前までは「消防組」と呼ばれ、火災に関する事前指導が「頭」と呼ばれる人によって行われていた。その後、戦時中には「警防団」となり、戦後は「消防団」となって現在に至っている。
 現在の消防団は、正式名称を「伊予消防等事務組合伊予消防署中山出張所」といい、本部を中山町大字中山丑五一〇番地の二(泉町四丁目)においている。
 消防団の構成は、六分団(中山一、出渕一、永木一、野中一、佐礼谷二)で約二三〇名である。おもな事業として、消防に関すること、水利に関すること、道路障害の除去、救急に関することなどがあり、地道な活動を行っている。
 町の保安のための重要な組織といえよう。
              (詳細は行政の部参照)

 婦人会等
 婦人会は明治三〇年代に中山村・佐礼谷村に結成された。時代の移り変わりと共に、国防婦人会となり、戦後は婦人会となって、各小学校区別に誕生した。
 戦前は国の方針に従って活動していたが、現在はかなり自主的な活動を行っており、敬老会をはじめ研修や各種イベントに協力している。
 また、○○会婦人部という名のもとの活動も盛んで町の活性化に寄与している。平成五年には、「女性の社会参加による地位の向上」「女性が活躍すれば町が若がえる」の考え方から、「女性団体連絡協議会」が結成された。これは各種女性団体長三二名からなり、現在、研修を重ね、町の活性化に大きく寄与しようとしている。

 子供・老人について
 子供たちは時代の変遷によって、また、地域によってのちがいはあるが、いろいろな面で行事に参加している。「亥の子」「虫送り」などをはじめ、祭りの「舎儀利」「お供相撲」「子供みこし」などに参加してきた。近年になっては、「ふるさと祭り」「夏祭りの踊り」等があげられる。
 老人クラブは各地域により異るが、神社・公民館・道路などの清掃活動をする地区もある。また、クロッケーでは平成六年県大会で優勝した。
    (青年団・婦人会の詳細は社会教育の部参照)

 町おこしのためのグループ
 「町おこし」のためのグループを紹介しておく。

 「ふるさと市」
 「ふるさと市」は昭和六一年JR伊予中山駅前に発足した。町内に生産される野菜・果物や、寿司・まんじゅう等を販売している。「新鮮で安い」というのがキャッチフレーズで、毎日曜日と祝日に開いている。これは、町内のみならず、国道五六号線を通る人々にも人気があり、町内外の利用者が多い。一日の売り上げは約六○万円(平成五年)に上り、中山町の「町おこし」の代表的な役割を果たしている。
 このグループの構成は中山町全域の農家の主婦で、一一グループ約七〇人となっている。各グループより役員を選出し運営されている。

 「しあわせ市」
 町内上長沢のクラフトセンター前に開設され、平成三年に発足した。構成は一一グループ・約九〇人、内容は前述の「ふるさと市」とほぼ同様である。

 「にこにこ市」
 栗の里公園に平成七年に発足した団体である。グループ員各自が品物を持参し、運営については遊栗館が行っている。
 構成員は約三〇人、行事内容は「ふるさと市」「しあわせ市」と似たようなものである。

 「やらいで会」
 佐礼谷地区においては、平成元年に「やらいで会」が発足し、自主的に地域の活性化に努めている。
 地域の若者が中心となり「おいしんぼフェスティバル」を上長沢の町民運動場において年一回開催し、盛大なイベントが行われる。
 また、「やらいで会」では、町内の各種イベントに参加したり、ボランティア活動を行ったりしている。

 「ホタル保存会」
 「ホタル保存会」は昭和六一年に結成された。峯岡安則を中心として、会員一二名がおり、初代会長は亀井正哲であったが、その後峯岡安則が引き継いだ。
 主な事業は、町内全域にわたるホタルの幼虫の放流とホタル祭りである。ホタルの幼虫の放流は年間約四〇万匹であり、町内の小学校なども協力している。ホタル祭りは当初、松山市のダイエーとJR伊予中山駅前で実施したが、現在は、中山高校グランドで行っている。祭りに来る人は町内外から約六千~一万人位もある。また、五月下旬より六月下旬にかけて松山地域からもホタル見物に多くの人が来町するようになってきている。
 中山町のホタルは県内外でも有名で、新聞・テレビでたびたび紹介されている。また、他町村や他県からも本町へ研究に来る人も多い。今や中山町の町おこしの重要な事業となっている。