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中山町誌

七、 林業構造改善事業

 国は国土の保全と国民経済の発展に資することを目的として、昭和二六年(一九五一)森林法を公布し、さらに昭和三九年にはわが国の林業総生産の増大を期すると共に、生産性の向上と林業従事者の所得の増大を目標とした林業基本法を制定した。
 また同年この政策目標を達成するため、構造の改善に必要な施策を総合的に講じる目的で、林業構造改善事業を発足させ、小規模林業経営の規模の拡大、その他経営基盤の整備及び拡充、近代的な施設の導入等構造の改善に関し必要な事業が行われるよう指導助成をすることにした。
 中山町では、この林業構造改善事業実施要綱に基づいて昭和四四年指定を受け、四五年から四七年まで第一次林業構造改善事業を実施した。
 その後時代の要請に応じ、昭和四七年第二次林業構造改善事業が発足、昭和五五年に新林業構造改善事業が発足、さらにこれらの事業実施を経て、平成二年には林業山村活性化林業構造改善事業が発足し林業近代化の推進が図られている。
 本町では、一次林構に続いて昭和五二年からは、二次林構事業を実施し、五七年から新林業構造改善事業を、平成二年から活性化林業構造改善事業に取り組んできた。これら林業構造改善事業に投入した総事業費は、十二億九四八万七、〇〇〇円である。
 平成二年作成の活性化林業構造改善事業計画書によると、本町の林野面積は四、七二一ヘクタール、林野率は六三・〇パーセント、総蓄積量五四万七、八五〇立方メートル、民有林道延長一六・一キロメートル、林道密度三・四メートル(県平均四・五)林内路網密度二五・〇、素材生産量三、六〇〇立方メートル、人工造林面積七ヘクタールとなっていて、これを基調として構造改善に関する基本構想を立てている。

 活性化林業構造改善に関する基本構想
 中山町では第一次・第二次林業構造改善事業・新林業構造改善事業を実施し、生産基盤の整備・経営の近代化・協業の推進等を図り、また町単独事業で国産材加工施設を導入し、地域林業を振興している。
 しかし林業・山村をめぐる環境は依然として厳しいものがある。
 ところで、本町の林道密度は三・四メートルと県平均に比べて低く、既存の加工施設への素材の安定供給のためと、低コスト林業を図るうえで基盤整備が重要である。
 また、近年の木材需要の多様化・高度化に伴い、林業経営高度化施設の整備を図るとともに、地域の森林資源を活かした森林レクリェーション施設を導入して、林業者の生活・就労環境の整備を図ることにより、地域全体の林業構造の改善を推進するため次の事業を実施する。
 ①林業生産高度化のための組織化推進活動を実施する。
 ②生産性の高い林業を確立するため、林道整備、作業道の開設を図る。
 ③需要動向に対応した木材製品確立のため、乾燥施設等を既存の加工施設に導入する。
 ④森林レクリエーション施設を導入して、林業者等の就業環境の改善を図る。

 事業計画の内容
 ①構造改善推進に関する事項として協議会の開催・先進地調査・啓蒙普及等を実施し、林業振興体制の整備を図ると共に、安定的な林産物の生産・利用のため実務者レベルの組織化活動を推進する。
 ②林業生産基盤の整備に関する事項として、森林施業の適正化と低コスト林業確立のため、林道二路線三、四〇〇メートルを開設し、併せて林道一路線一、八七〇メートルを舗装整備する。
 ③林業経営高度化施設の整備に関する事項として、地域材の利用を促進し、林業生産活動を活発化するため、既存の加工施設に乾燥施設・貯木場の増設等、林業経営の高度化をより一層促進する。
 ④林業者定住促進に関する事項としては、地域森林の有する保健休養的利用を促進して、林業者の就業環境の改善を図るため、バンガロー七棟、キャンプ場他を設置する。
 ⑤単独融資に関する事項としては、町単独事業で導入した国産材加工施設(製材施設)の貯木場は、現在未舗装のため作業効率及び品質の低下を来たしている。単独融資で貯木場の舗装整備を図る。
 以上五項目で、本町の実施した林業構造改善事業は表2-11のとおりである。

表2-11 林業構造改善事業実施状況

表2-11 林業構造改善事業実施状況