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中山町誌

四、 基本計画

 本町は、耕作面積の大部分の条件が不利であり、生産性が極めて低い。「農業総合整備計画」の策定以来、農村総合整備モデル事業(昭和六一年から)等の導入により、主に水田のほ場整備や畑地の基盤整備を行ってきた。
 今後も、農業従事者の減少に伴う耕作放任地の増加を防ぎ、農地の流動化を図らなければならない。また一層の規模拡大と生産性の向上を図っていくため、農村景観に配慮しながら、引き続き計画的な農地造成や区画整理・農道・園内道・作業道等の基盤整備を行う必要がある。
 また、中山間地である特性を最大限に利用し、標高差を活用した特色のある農業の展開を推進し、そのために高収益型農業転換に欠かせない施設化を計り、消費者需要の動向に則した生産体整備のための基盤作りが大切である。
 本町では、平成二年の農林業センサスによると、主に栗(栽培農家七二〇戸)、みかん(栽培農家一四四戸)、うめ(栽培農家六三戸)等の果樹作物と、葉たばこ(栽培農家一〇八戸)、野菜(栽培農家三七五戸)栽培の複合経営を行っている。しかし今後、施設園芸等の基盤整備を行い、天候に左右されない高収益型農業への転換を図るとともに、施設を利用した周年栽培農業の確立を目標としている。
 一方、高収益農業を目指すために、バイオテクノロジーを活用した農業への取組みを検討する必要もある。
 以下王要課題について述べることにする。

 基幹作物の振興による産地化
 将来さらに兼業化、高齢化、婦女子化する農業においても、地域農業の担い手として位置付け、趣味や生きがいとしての農業も併存しながら、活力ある農村の形成に努めなければならない。町を代表する名産品である栗栽培をより一層奨励すると共に、みょうが、いんげん等の軽量作物への転換を奨励し、高収益性と作業の効率化と併せ、椎茸の菌床栽培の産地化も図るべきである。
 また、近年は生活の質が重視されており、生活空間に彩りを添える花卉、花木の需要が見込まれる中、日中と夜間の温度差のある本町に適した花卉栽培の奨励を図る。

 特産品作りの推進
 中山町特産品センター、農産加工場を拠点施設として農産物の一・五次商品(加工完成品)作りをする。安全・本物・自然・健康・手作り等の消費者の志向に対応した評価の高いブランドの確立を目指すと共に、特産品の生産体制の整備を図る。
 また、一次加工中心の生産形態から、さらに、高付加価値を生み出す二次加工品の開発を関係機関や加工グループと連携し行う。生産・加工・販売・サービスまでを行う新しい産業システムを構築し、新しいマーケットの開拓に取り組む。

 観光レクレーション型農業の推進
 「栗の里公園」、「クラフトの里」等のレクレーション施設と農業生産環境が有機的に連動したシステムの整備を図る。農業の観光化・体験学習そして交流と滞在による取組みを推進し、農業のイメージや文化を高めながら、農業経営のアビリティを確かなものとし、魅力ある産業として育成する。

 担い手の育成
 担い手不足は、将来の地域農業を考える上でも重要である。美しい生産環境が保たれ農村景観の保全のためにも、行政・農業組織・農家をはじめ地域一体となって取り組まなければならない。各種研修、学習の充実及び指導体制や、支援体勢の強化を図り、農村リーダーや農業後継者、新規就農者等の担い手育成対策を推進する。
 また、担い手不足対策として、農作業受託組織である第三セクター(株)プロシーズの体制整備及び支援を強化し地域農業の再編を図る必要がある。

 農業経営の指導と管理
 経営基盤の拡大や生産基盤の充実による生産性の向上と共に、産地間競争で生き残るために、消費者ニーズの的確な把握に努め、農業経営の指導強化を図る。なお、農業経営の合理的支援を行うため、集団営農の推進や農地管理、農作業の受託、農業機械の貸出しなどを行う指導体制の整備を図る。
 また、情報システムを活用した営農情報等の充実を図ると共に、それを利用した農業経営の検討を進める。
 一方、輸入自由化による価格の低迷が憂慮される畜産においても、徹底した経営管理による生産性の向上を図り、市場競争に勝ち残る経営化を目指す。

表1-13 経営耕地面積の推移

表1-13 経営耕地面積の推移


表1-14 中山町の農業粗生産額の推移

表1-14 中山町の農業粗生産額の推移


表1-15 土地基盤整備事業地区別調書

表1-15 土地基盤整備事業地区別調書