データベース『えひめの記憶』
中山町誌
二、 維新後の農業
慶応三年(一七六七)一〇月、徳川幕府は政権を奉還、翌四年九月に元号が改められて明治となった。実に江戸幕府創設以来二六六年目にして、幕藩体制のもとにおける農業が転機を迎えることになった。
しかし、農民の生活の上では、藩政時代と全く変化がみられず、御維新といわれながらも農民は次第に疑問と不安を抱きはじめた。
かといって農民が政府に対して、どういう政治をして欲しいという具体的な希望をもっていたものでもなく、いつか新しい政治が行われるのであろうと、ひたすら期待して農耕と山仕事に励み貢納に身をくだいたのである。
新しい改革が農村に行われるようになったのは、廃藩置県の後、明治四年七月からである。
旧藩主の東京移住の後、政府の役人がこれに代わると共に、庄屋の延長である里正も廃止され、新しく大区、小区の制度を採用し正・副区長、小区に戸長を置くことになった。
同五年には、二三〇年間禁制であった土地永代売買を解禁し、「地券渡方規則」を布告して農民の土地所有権を明確に打ち出し、同七年には地租改正の条例・規則が出された。改めて地券が交付され地価が決まり、それが税の対象となることになった。