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中山町誌

四、 老人福祉 ①

 昭和二二年(一九四七)男子五〇・一歳、女子五四歳であった平均寿命は、戦後の国民生活と公衆衛生水準の向上・医療技術の進歩等により大幅に伸長し、平成三年には男子七六・一一歳、女子八二・一一歳と世界最高水準に達している。
 我が国の出生数をみると、戦後の第一次ベビーブームといわれた昭和二四年には二七〇万人に達していたが、昭和五〇年には二〇〇万人を割り、その後減少し、平成二年には一二〇万一、〇〇〇人と史上最低となった。一人の女性が生涯に出産する子供の数を示す、合計特殊出生率も平成三年には史上最低の一・五三人と、少産化傾向が続いている(「老人の保健医療と福祉」監修・厚生省)。
 このような平均寿命の伸長と出生率の低下により、我が国の人口構成は急速に高齢化が進んでいる。
 本町の動向は次のとおりである(表4-8~14)。また、人口構成の推移からみても、高齢化の現象は顕著であり今後の高齢化対策は最重要課題である。
 国の政策においては、高齢者の保健福祉の分野を総合的かつ、計画的に推進するため、「高齢者保健福祉推進一〇ケ年戦略」ゴールドプランが平成二年度からスタートした。住民に最も身近な市町村が、在宅サービスと施設サービスの一元的な実施主体として、積極的・計画的に取り組んでいく必要から、平成二年六月、老人福祉法等が改正され、平成五年四月から、老人ホーム入所決定権が都道府県から町村へ移譲されるとともに、すべての市町村及び都道府県で、老人保健福祉計画の策定が義務づけられた。
 高齢者の多くは、身体が不自由になっても住みなれた地域社会で住み続けることを希望しており、今後の老人福祉行政は、このような在宅生活の維持向上を支援するという観点から進めていく必要があるとされている。
 在宅福祉対策は、(1)寝たきり老人等に対する老人ホームヘルプサービス事業等の要介護老人対策、(2)いきがい対策のための老人クラブ活動等の助成事業をはじめとする社会活動促進対策の二つに大別される。
 さらに最近では、老人の保健福祉医療等の諸問題について電話等によって気軽に相談に応じる「高齢者総合相談センター」シルバー一一〇番や、町村の窓口へいかなくても必要な保健福祉サービスを受けられるよう調整を行う「在宅介護支援センター」の事業も進められている。以下本町の取り組んでいる高齢者福祉対策事業等について述べることとする。

 老人短期入所運営事業(ショートステイ事業)
 寝たきり老人等の介護者に代って、寝たきり老人等(痴呆性老人を含む)を一時的に養護する必要がある場合に、短期間老人ホームに入所させることにより、介護する家族等の負担軽減を図り、寝たきり老人及び家族の福祉の向上を図ることを目的とした事業である。本町では、松山市及び伊予市内の特別養護老人ホーム等に施設を指定している。
 利用対象者は、概ね六五歳以上の在宅の寝たきり老人等で、利用期間は原則として七日間以内とされている。利用の要件として、疾病・出産・冠婚葬祭・事故・災害等の社会的理由及び介護疲れによる休養や旅行等の私的理由により、一時的に居宅での介護ができない場合とされている。平成四年度間の利用状況は、表4―16のとおりである。

 老人デイサービス運営事業  
 昭和五四年度より、国の制度として、在宅の虚弱老人や寝ねたきり老人を送迎用リフトバス等を用いて、特別養護老人ホーム等に併設された施設又は、単独施設の老人デイサービスセンターに通所させ、各種のサービスを提供することにより、心身機能の維持を図り、家族の介護負担の軽減を図ることを目的とした事業である。
 本町においては、昭和六二年一〇月、中山町まちづくり推進協議会福祉部会(部会長上岡哲男)委員により、高齢者対策として、「老人憩の家」の活用を図るよう提言がなされた。
 平成元年八月、食堂・厨房・健康チェック室・養護室・洗濯室等約八〇平方メートルを新増築し、既設の浴室・便所・通路及び各部屋の改装を行い、平成二年三月一四日「中山町老人憩の家」に併設中山町デイサービスセンターC型を開設した。民生児童委員による通所者を募集し、二四六人の希望者を登録した。
 本センターは、通所による生活指導・養護・健康チェック・入浴・給食のサービスを行い、通所者の生活の助長・社会的孤独感の解消・心身的な機能の維持向上等を図るとともに、その家族の身体的・精神的な負担軽減を図ることを目的としている。

 デイサービスセンターE型(毎日通所型)
 本町では、既存のデイサービスセンター「C型」では対応できない、継続的な介護が必要な痴呆性老人を対象とした毎日通所型事業のデイサービスが必要となり、平成六年五月中山町東町NTT事業所跡を借用して、県下最初のデイサービスセンターE型を開設した。改装事業費三○○万円、面積一五二平方メートルを整備し現在一〇名の痴呆性老人が通所している。主なサービス事業は、生活指導・日常動作訓練・養護・送迎・健康チェック・入浴・給食サービスなどである。

 在宅介護手当支給事業
 本町は、在宅で寝たきり老人等を介護する者に対し、「中山町寝たきり老人等在宅介護手当支給要綱」を制定し、平成元年度より年額一万円を支給した。これは伊予郡内町村では初めてのことであった。平成四年度後半、県単独補助事業として介護手当制度が制定されたので、年額四万六、五〇〇円となった。平成五年度支給者数は三八人である。毎年度の介護手当額は次のとおりである。
 平成元年度 一万円  平成四年度 四万六、五〇〇円
   二年度 二万円    五年度 六万円
   三年度 三万円    六年度 六万円

 給食サービス事業
 平成元年度より、中山町社会福祉協議会において実施されている。対象者は中山町内に居住する七〇歳以上の独居老人及び、在宅の要介護老人家庭に対して行われているが民生児童委員の意見を聞いて社会福祉協議会長が決定することになっている。
 給食サービスの協力機関・団体は、町内各婦人会・日赤奉仕団・白梅学級・給食ボランティア・民生児童委員協議会で、費用は中山町社会福祉協議会が支出している。
 本町に居住する独居老人の推移は次のとおりである。
 平成元年  八二名   平成四年  一一二名
   二年  九五名     五年  一一三名
   三年 一〇三名     六年  一二一名

表4-8 老年人口増加状況

表4-8 老年人口増加状況


表4-9 老年人口指数

表4-9 老年人口指数


表4-10 老年化指数

表4-10 老年化指数


表4-11 縦属人口指数

表4-11 縦属人口指数


表4-12 年少人口状況

表4-12 年少人口状況


表4-13 年少人口指数

表4-13 年少人口指数


表4-14 中山町年齢階層別の人口割合 (平成7年3月31日)

表4-14 中山町年齢階層別の人口割合 (平成7年3月31日)


表4-15 ホームヘルプサービス事業

表4-15 ホームヘルプサービス事業


表4-16 ショートステイ事業

表4-16 ショートステイ事業


表4-17 デイサービス事業 (C型)

表4-17 デイサービス事業 (C型)