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中山町誌

三、 縄文前期

 縄文前期は、千葉県の加茂遺跡を標準とするが、県下では東宇和郡中津川洞遺跡第二層出土の土器を標式とする、いわゆる中津川式土器と呼ばれるものがある。縄文前期の土器は、土器の成形に貝殻を使用したために、貝殻の条痕が器表面に地文として遺存する土器である。この地文上に貼り付けの突帯(隆帯)や刺突(刻み)を施文する土器文様が盛行する時代である。前期の土器は一般に円筒形深鉢が多く、また器面全体に縄文の施文された土器が盛行するのもこの時期の特徴で、羽状縄文が最も一般的にみられる時期である。早期の砲弾形尖底深鉢土器から平底に器形が変化するばかりでなく、土器の厚さを非常に薄くして、熱の伝導を早くする工夫が図られている。この時期は海進が最も進行し、その後は海退期へと向かう。