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伊予市誌

2 生産・流通改善方針

 米
① 生産意欲の高い担い手層への農地の流動化を促し、大型経営体の育成を通じた低コスト稲作を推進する。
② 既存の生産組織を発展させるとともに新しい生産組織の育成に努め、肥培管理技術の統一と高位平準化を図る。
③ あきたこまち・ひめのまい・こいごころなど食味のよい奨励品種の統一化と種子更新を推進する。
④ 適斯刈り取り・倒伏防止・施肥の合理化などを推進し、品質の向上を図る。
⑤ 畜産農家との連携強化により、堆肥の投入及び生ワラの投入による土づくりに努める。
⑥ 固定資本への過剰投資を防ぐため、専業農家を含めた機械施設の共同利用組織の育成、作業受委託など協業化を推進し、今後、育苗センターを設置するなどカントリーエレベーター、種子センターの有効的な利用とリンクした生産体制の整備を行う。
⑦ 麦、大豆、野菜など水稲を含めた土地利用型作物の生産性向上及び農地の高度利用を図るとともに、農家所得の増大を図る。

 麦
① 既存及び新しい麦作集団の育成強化に努め、団地化、生産技術の高位平準化及びカントリーエレベーター、種子センターをはじ めとする機械、土地利用型農業を志向する経営体への施設の共同利用を図るとともに、作業委託、農地の流動化を促進し、生産性の高い麦作を図る。
② 耕起・播種・覆土・除草剤散布複合作業機によるドリル播種栽培など機械化一貫作業体系の普及に努め、省力化やコスト低減を図る。
③ 湿害対策として、営農排水の推進に努める。
④ 播種期、除草、排水対策、病害虫防除など肥培管理の徹底を図る。
⑤ 高品質麦イチバンボシなど優良品種の導入と種子センターの活用による種子更新を推進する。
⑥ 切りワラ散布、土壌改良資材・堆肥の投入などによる土づくりを推進する。

 大豆
① 集落での話し合いを基調に、水田営農活性化対策のおける団地化に対応した集落栽培を推進する。
② 大豆-麦、大豆-野菜などの作付体系により、土地利用の高度化を図り、水田における輪作体系の定着化に努める。
③ 排水対策、米・麦・野菜などとの土づくりの推進などにより、単位当たり収穫の増大と品質の向上を図る。
④ 病害虫防除の徹底と種子更新を推進する。
⑤ 展示ほの設置、講習会、技術資料などの活用により栽培技術の向上を図る。
⑥ 播種期・脱粒機・選粒機などの導入を図り、共同利用による作業の省力化に努める。
⑦ 集荷検査の充実と農協への一元化を促進する。
⑧ 知力保持のため田畑転換を考慮した農地の流動化、生産性の向上を図るための集団化・団地化を推進する。

 レタス
① プラグ苗利用による良質苗の確保と定植作業の効率化を進めるとともに、有機物の投入による土づくりを推進し、生産性の向上を図る。
② 作型の分散と八分結球収穫の完全実施によって品質の均一化を図り、長期安定出荷を行う。
③ 包装機の導入により、出荷調整作業の合理化・省力化を図る。
④ 予冷処理及び保冷輸送により鮮度保持を図る。
⑤ レタスの前後作として、夏秋なす・枝豆などを作付けし、土地の高度利用を図るとともに、経営の安定化に努める。

 たまねぎ
① バーク堆肥などによる土づくりを推進し、連作障害の回避による生産安定を図る。
② 選別・選果機の導入による共選体制で労力の省力化を図り、個別の生産規模の拡大と品質の向上に努め、質・量ともに優れた銘柄産地の確立を図る。
③ たまねぎの前後作物としてかぼちゃ・キャベツの定着化を進め、土地の利用率を高めるとともに、経営の安定化と生産の拡大を図る。

 そら豆
① 早期出荷を可能とする新品種春風の地域適応性を明らかにし、その普及定着を図る。
② ムシコンマルチの利用及び適期防除により、ウィルス病の発病を防止し、生産の安定を図る。
③ 支柱誘引の普及によって受光率の向上と倒伏防止に努め、上位等級比率の向上並びに生産の安定を図る。
④ 土壌改良資材の投入、排水対策及び輪作により立枯病などの連作障害の防止を図る。
⑤ 予冷処理・保冷輸送により鮮度保持を図る。

 枝豆
① 品質を白糸系の優良品種に統一し、適正な施肥及びトンネル内の温度管理によって着莢率を高め、収量水準の向上を図る。
② 病害虫(ダニ・スリップス・カメムシなど)の適期防除に努め、品質の向上を図る。
③ 播種・脱莢作業の機械化を促進し、省力化を図る。
④ 予冷処理・保冷輸送により鮮度保持を図る。
⑤ 枝豆の前後作としてレタスの作付奨励を行い、土地の高度利用を図る。

 なす
① 台風など気象災害回避のため、防風ネットの設置を徹底する。
② 青枯病、萎凋病など土壌対策として、抵抗性台木の普及、土壌消毒、輪作の実施を推進する。
③ ミナミキイロアザミウマによる被害を防止するため、シルバーマルチの使用、整枝剪定の適正化など耕種的防除と薬剤防除を組み合わせた総合防除法の実証普及に努める。
④ 緩効性肥料の使用、有機物の投入を推進し、省力化及び地方増強による作柄の安定化に努める。
⑤ 予冷処理及び保冷輸送により鮮度保持を図る。
⑥ 春レタス・水稲との輪作を通じ、土地の高度利用及び水田転作物としての定着を図る。

 ハウスきゅうり
① 塩類濃度障害や土壌病害虫の多発化などの連作障害に対処するため、土壌の灌水化による除塩及び太陽消毒を実施する。
② 品質の統一と生産物の高品質化に努めるとともに、予冷処理及び保冷輸送などにより鮮度保持を図る。
③ 施設及び土地の有効利用を高めるため、抑制きゅうりを導入して土地及び資本生産性の向上に努める。
④ 個人選別から共同選別への転換を図り、省力化を推進する。

 ハウストマト
① 施設トマトの連作障害の原因である塩類濃度障害及び土壌病害虫の多発化に対処するために、耐病性台木の導入、土壌の灌水化による除塩及び太陽消毒の実施、有機物の投入による土づくりを推進し、作柄の安定と生産性の向上を図る。
② 作型に応じた品種選択を行うとともに、整枝剪定・誘引の徹底によって品質の向上に努めるとともに、予冷処理・保冷輸送などにより鮮度保持を図る。
③ 施設及び土地の有効利用を高めるため、抑制トマトを導入して生産性の向上に努める。
④ 選果機を導入し、選果選別作業の合理化を図る。

 ハウスなす
① 塩類濃度障害及び土壌病害虫の多発化の連作障害に対処するために、耐病性台木の導入、土壌の灌水化による除塩及び太陽消毒の実施、有機物の投入などの土壌管理対策を推進し、作柄の安定を図る。
② 日焼果発生を防止する管理対策及び発生の少ない品種選択、整枝剪定の徹底などにより品質の向上に努めるとともに、予冷処理・保冷輸送などにより鮮度維持を図る。
③ ミナミキイロアザミウマによる被害防止のため、耕種的防除及び新農薬などの薬剤防除を組み合わせた効率的な防除法の実施・普及に努める。

 その他の野菜
※ほうれん草
① 加工原料として冬・春の作型を推進する。
② なす・枝豆などの夏野菜、施設栽培における除塩対策として野菜類の後作への定着化を図る。
※とうもろこし
① 前後作にレタスを導入し、水田転作作目として定着させる。
② 前作レタスの畝及びポリマルチを利用した作付けを推進し、耕起・畝立・防除作業の効率化を図る。
※キャベツ
① 沿岸礫質畑地帯のたまねぎ・かぼちゃ・キャベツの輪作体系における基幹品目として、夏キャベツと原料加工とした冬・春キャベツを中心に安定した生産供給を図る。
② 優良品種の導入とともに、コナガの総合的な防除対策を推進し、安定生産を図る。
※ねぎ
① 土壌条件に適した生産団地の育成、土づくりの推進により安定供給を図る。
※かぼちゃ
① 沿岸礫質畑地帯での早出しが定着しており、土づくりの推進により安定供給を図る。

 果樹
① 園地の基盤整備と改造
 ア 園地の集団化 土地の集団化を推進し、現在の一園地平均面積二三アールを五〇アール以上とする。
 イ 園地の基盤整備 園地までの連絡道の整備と作業道の間伐を合わせて行う。
 ウ 老木園の改植と園地改造 管内では、老木園が四〇%を占めており、これの改植による園地若返りと並行して作業性と高品質を考慮した園地改造を進める。
② 施設化による高品質果実の生産を進めるとともに、施設栽培作目による周年供給産地の育成に努める。
③ 選果施設、貯蔵施設及び流通基幹施設の整備並びに情報収集と集荷に関する中枢機能の強化を図り、市場出荷力の向上に努める。
④ 品種別栽培技術の向上に努める。

 花き・花木
 ※シクラメン・バラ
① 高品質化を図るとともに、産地規模の拡大に応じて共選・共販体制を整備する。
② シクラメン栽培では、底面灌水法の導入普及を促進し、肥培管理の省力化と品質の向上を図る。
 ※ストック
① 産地規模の拡大並びに高品質生産に向けた技術の高度化を図る。
② 後作花きを導入し、施設の有効利用を図る。
※トルコキキョウ
① 産地規模の拡大並びに高品質生産に向けた技術の高度化を図る。
② 二度切り栽培を推進し、施設の有効利用を図る。

 飼料作物
① 水田営農活性化対策による飼料作物の集団栽培を推進する。
② 耕種農家と畜産農家との補完結合関係の醸成、期間借地の推進などにより、飼料栽培の規模を拡大する。
③ 飼料作物栽培の面的拡大と合わせて、作付け体系の確立、作業機械導入などを通じて生産性の向上を図る。

 肉用牛
① 優良繁殖牛を導入し、繁殖・肥育の一貫経営体の育成を図る。
② 単飼など、飼養方式に応じた肥育管理技術の向上を図る。
③ 濃厚飼料と稲わらに依存した飼養形態から良質粗飼料の計画生産と貯蔵利用への改善とともに、自給率の向上を図る。
④ ふん尿処理利用施設の整備と共同利用を推進する。
⑤ 環境整備、消毒の励行、異常の早期発見・治療のための定期診断などを励行する。

 採卵鶏
① 育成率の向上、産卵量の増加などによる生産性向上と飼養管理の合理化に努める。
② 卵質の向上と均一化を図るとともに、経営体間の格差の改善に努める。
③ ワクチネーションの励行及び鶏舎消毒などの自衛防疫を推進する。
④ 環境整備と鶏卵の適正処理・有効利用を推進する。
⑤ 鶏卵の需給動向に即した望ましい養鶏経営の育成を図る。
⑥ 飼養管理の省力化に向け、鶏舎構造の改善に努める。