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伊予市誌

3 主な農業施策

 水田利用再編対策
 米は、国内で十分に賄うことができる大切な食糧エネルギー源であるとともに、優れたたんぱく源として、我が国の長い歴史の中で「日本型食生活」とも言える日本人の食文化を築き上げてきた。しかし、所得水準の向上を背景とした畜産物・油脂類の消費などに伴う食生活の多様化などにより、近年の消費量は減少を続け、平成一二年度における国民一人当たりの消費量は五一・五キログラムとなり、ピーク時(昭和三七年度)の約四割に落ち込んでいる。
 このように米の需給動向は、長期的には米の生産力が依然として需要を大幅に上回る状況にあることから、国においては昭和五三年度以降、農産物の総合的な自給力を高め米の需給の均衡を図るため米の消費拡大を進めるとともに、水田を利用して自給力向上に必要な大豆・麦・飼料作物などへの転作などを推進するよう、水田利用再編対策(水田農業構造改革対策)が実施されている。

 温州みかん園の転換
 我が国の果樹農業は、一九六一(昭和三六)年「農業基本法」及び「果樹農業振興特別措置法」が制定され、選択的拡大作物として取り上げられ、昭和三〇年代後半に大増植された温州みかんが、結果期に入った昭和四〇年代後半から、みかん価格暴落が相次ぎ、みかん不況は永続的なものとなった。それに対処して自らの経営活路を求めるため、中晩柑類への高接更新が意欲的に行われ、昭和五四年度から国の施策として実施された「温州みかん園転換促進事業」の推進と相まって品種更新が急速に進み、第113表のとおりの現状となっている。一九八五(昭和六〇)年に至り「果樹農業振興特別措置法」が改正され、需給バランスを保つための措置が講じられた。

 農業機械・施設栽培の進歩
 近代農業を目指して農業機械の普及には著しいものがある。本市においても、年々保有台数の増加・大型化の傾向がうかがわれる。その原因は、ほ場の整備が進み、大型機械の導入が可能となった。また、兼業化が進み省力化を図る必要性が起こったからである。動力耕耘機・農業用トラクターは、一九七〇(昭和四五)年の一、二七九台から、一九八五(昭和六〇)年には一、九六二台に増加したが、二〇〇〇(平成一二)年には一、四四五台と再び減少傾向にある。このうちトラクターが九九八台を占めており、田植えはすべて機械植えとなった。バインダーについて見ると、昭和五五年をピークに減少傾向にあるが、これは自脱型コンバインの増加に見られるように、バインダーからコンバインへの移行によるもので、今後機械が更に改良されますます大型化するとともに、ライスセンターなど共同利用施設の増加・共同化が一層進むものと思われる。

 施設栽培
 市内の施設園芸の推移を見ると、第114上表のとおりである。これによると、ガラス室・ハウスについては、一九七二(昭和四七)年から二〇〇〇(平成一二)年までの間に急増しているが、トンネル栽培については、昭和六二年をピークに減少に転じている。また、ハウスの作付面積を見ると第114下表のとおりで、野菜・花きの栽培は昭和五二年を境に減少していたが、昭和六二年から増加に転じており、特に花きハウスが急激な伸びを示している。ハウスみかんなどの果樹については、昭和五七年までに急増したもののその後は減少傾向にある。
 本市におけるハウスミカンは、昭和四九年に田中健一(宮下)・武智等(上野)が一六アール栽培したのが始まりで、その後、熱心な栽培技術の研究、徹底した計画出荷など当事者の努力によって、(伊)のハウスミカンとして市場で高く評価されている。主な栽培地域は、宮下・上三谷・八倉・上野・下三谷・大平・三秋などである。平成一二年度のハウス施設の実態は第115表のとおりである。

第113表 平成12年度における伊予市内の主な果樹の栽培面積

第113表 平成12年度における伊予市内の主な果樹の栽培面積


第114表 伊予市における園芸用施設調

第114表 伊予市における園芸用施設調


第115表 平成12年度ハウス設置状況

第115表 平成12年度ハウス設置状況