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伊予市誌

4 道前道後平野農業水利事業

 道前・道後平野地域の用水不足を解消するため、昭和三二年度に着手した国営農業水利事業(以下「一期事業」という。)は、発電・工業用水・農業用水の確保の目的で、昭和四二年度に有効貯水量二、六八〇万トンの面河ダムが完成した。更に、これに附帯して実施された県営事業によって、末端の受益地まで農業用水の円滑な補給が行われるようになり、現在伊予市では水田約七五七ヘクタール・畑約二二七ヘクタールがその恩恵を受けている。
 しかし、一期事業完了後は、農業情勢も大きく変貌し水需要も変化が生じてきた。その主要なものは次のとおりである。①田植機の普及・兼業の進行で、用水の短期集中による水不足、②都市化の進展に伴う地下水の水位の低下、③ほ場整備が進むにしたがい、用排分離による減水深の増大、④転作の普及による通年給水の要望の増大など、また、施設についても完成後約二〇年近くにもなり、老朽化・旧式化、更に安全性の低下が目立っている。
 このようなことから農業用水の需要構造の変化に対し新規水源の確保を図ることと、施設の近代化・合理化を図るため、国営二期事業として、道後平野側の農地に用水を供給する佐古ダム、道前平野側の農地に用水を供給する志河川ダムの整備が進められている。