データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

伊予市誌

10 文化財としての植物

 本誌第八編第三章文化財の項に記述しているので、ここでは植物名とその所在地、王な特徴の記載にとどめる。

 ノダフジ
 伊予稲荷神社境内にあり、根回り一・九mのものなど四株がある。
 稲荷地区の常願寺にも根回り一・四mのものなど三株がある。約三〇〇年前に植えられたという。

 クロガネモチ 
 稲荷の山崎神社のものは胸高幹周三・七m、樹高二五mの大樹であったが平成一五年惜しくも枯死した。境内には壮木がある。伊予岡八幡宮のものも枯死したのは残念である。

 ソテツ
 大平梶畑にあるものは愛媛県指定天然記念物である。根回り九m、八株の群生の雌株であったが、株元に近い部分のがけが削られたため樹勢が弱っているのは残念である。
 三秋の西願寺のものは市指定天然記念物になっていて根回り五m、樹齢五〇〇~六〇〇年といわれるが樹勢はおう盛である。

 ツバキ
 下唐川馬場のヤブツバキは通称椿坂にあり根周り二m、樹高八mの巨樹である(第40図)。
 上唐川長崎谷には市指定の三個体がある。藤三椿と酒天童子の二種はともに美花の園芸種であるが前者の出自は不詳で、後者は旧大洲藩領のあちこちに点在し、肥後細川家からもたらされたとされるが詳細は不明である(第41図)。樹高はそれぞれ八m、樹齢は共に二〇〇~三〇〇年と推定される。「唐川」と命名されたヤブツバキは小輪可憐で樹齢は二〇〇年以上と思われる。
 上吾川の「三谷絞り」は斑入りの美花で樹齢は少なくとも二〇〇年以上と推定される。この品種は市東北部丘陵地帯の集落のいくつかの屋敷に植えられている。

 ナギ
 上吾川の六反集会所にあり、根回り二m余、樹高九mで樹勢はおう盛である。暖帯沿岸のモガシ・タブノキ群系に見られる陰樹で、開けた場所にこのような大樹があるのは珍しい。

 クスドイゲ
 森地区の天神社裏の小さな社叢にあって、幹径三五㎝、樹高一二m。暖地の沿岸地方に自生するが、このような大樹はまれであろう。