データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

伊予市誌

二、わらべうた

 わらべうたは子どもたちが遊びの中で歌ううたで、長い間伝承され今日でも沢山歌われている。子どもたちは遊びながら、うたを歌うことで、遊びをより面白いものにしていった。
 こうしたわらべうたの中から、主なものを次にかかげる。

 あやふり、お手玉のうた
 (一)さいじょうさんは きりふかし ちくまの川は 波あらし はるかにきこえる ものおとは さかまく波か つわものか のぼる朝日の はたの出の ひらめくひまに くるゝゝ

 (二)くるまがかりの じんそなえ めぐるもあいずの ときのこえ あわせるかいも あわしふく てきはこのかた かすみだす 川中島のたたかいは かたるもきくも いさましや

お一つおとして おさら お二つおとして おさら おみんなおとして おさら お手のみ おさら おつかみ おさら おちりんて おさら おひだり おひだり おさら くるくるまわして おさら くはづけやっちょんめ やっちょめ やっちょめ おさら お手ぶし お手ぶし ぶっしておさら おんばさん おんばさん ばあさんで おさら しいるしる しいるしる しいるでおさら おさで おさら ちいさな はしくぐれ くぐっておさら おおけな はしくぐれ くぐっておさら どのむくりやんしょ お一つやのおつの木 お二つやのおつの木 お三つやのおつの木 どっこい目が一しょう おじゃみ お二お二 お三お三 お四 なんてくりょう とんきり おじゃみざくら お二ざくら お二ざくら ざくら お三ざくら お三ざくら ざくら お四ざくら おななさらり むむがえし お二こぼし お二こぼし こぼし でたよ でたよ でたよ おひとよせ おふたよせ おのせきり おひと おぬけ おぬけ おぬけ ぬけた おふた おぬけ おぬけ おぬけ ぬけた おみお おぬけ おぬけ おぬけ ぬけた お四おぬけ おひとお馬ののりかえ おかごでのりこえた お二 お馬ののりかえ おがごてのりかえた お三 お馬 お四 お馬 小はしくぐれ 大はしくぐれ おむがえし おつめぱあらあり おまねき一っかい 一つ ひんがら 二つ ふんがら 三つ みんがら 四つ よんがら 五六いつでも 七八おいさん ここのとお

 あやふりは、数個のお手玉を放り上げて受けることを何度もくり
返し、また変化をもたせうたに合わせて遊ぶ女の子の遊びである。

 羽根つきうた
○一や二 三や四 五や六 七や八 九や十
○ひとめ ふため 見わたしゃ 嫁ご いつやの むさし 七やの やくし 九のや 一くわん
 これはお正月に女の子の遊ぶ遊びで、羽根をつき合って遊んだときのうたである。

 手まりうた
○おしろのさあ おしろのさあ おん侍衆は おかごにおのりて いちうけいっさんどん ついた かどん つかんかどん 島ばち 松ばち さかしにどん 一や二 三や四 五つや六 七や八 九や十 もういっぺんかえして おしろのさあ おしろのさあ
○おんしょうしょうしょう正月は 松たてて 竹たてて 子どものよろこぶ お正月 だんなのけらいの おおみそか いちや 明くれば元日 年賀の御祝儀申しましょう おちやぼこぼん なんぞすいもの はよもてこい 一や二 三や四 五や六 七や八 九のや十 とおからおいでだ おいもやさん おいも一升 いくらかね 三十四文でございます もつとまからんか しゃからんかね おまえさんのことなら まけてあぎょ ますおだし ざるおだし ほっちょ まないた だしかけて あたまをきろとは とうもんじや しっぽきろとは やっはしじや となりのおばさん ちょっとおいで おいものにころがし これあぎょお そこでおならを ごめんなさい ぷッ ぷッ ぷッ なかむら ななしの ななむすめ としは十六 名はおせん おせんのともだち 四十九人 四十九人の友だちが うえしたそろえて けしょさして おびはどんすの 寺まいり てんじくつとめて 出かけたら お舟とちゃ舟がういて来て 小舟にのろうか おせんじょろ ちゃ舟にのろうか おせんじょろ おぶねも ちゃぶねも やすませて 人のやしきへ とりついて かたち油を べたつけて 一わのもっとい みのまいて 子ども 来たなら かおかくせ わかいし来たなら お茶をだせ  まずまず一かい すみましたあ すみました
○てまりとてまりが いき合うて ひとつの手まりの いうことにや 一年奉公しよじゃないか 二年奉公をした時にや 朝もとおから おき習らうて ちゃんちゃん茶釜に 茶を入れて 父さん 母さん おおきんか おきてままくて 髪結うて てんてん寺へまいらんか まいらんか てんてん寺のきじねこが 門より そとより ほろろうつ ほろろじゃあるまい かさであろ かさは 何がさ えちごがさ えちごの山へ なわかけて あとからおくまが なきかかる なくなく涙を舟につむ 舟は何舟 都舟 都の土産に何もろた 一にきようだい 二にかがみ 三にさなだのおびもろた おびはもろたが くけてない くけてむすんで 花見にいたら 花見にいたら 先先一がいすみましたあ すみました
○あんたがた どこさ ひごさ ひごどこさ くまもとさ くまもとどこさ せんばさ せんばやまには たぬきがおってさ それを りようしが てっぽうで うってさ にてさ くってさ うまさの さっさ
○一かけ二かけ 三かけて 四かけて五かけて橋かけて 橋のらんかん腰かけて はるか向こうをながむれば 十七、入のねえさんが 片手に花持ち 線香持ち ねえさんねえさんどこへいく 私は九州鹿児島の 西郷隆盛娘です 明治十年 三月に 切腹なされた父上の お墓へ参る途中です
○日清談判破裂して 品川乗り出す吾妻艦 続いて金剛浪速艦 さきに行くのが松島艦 玄海灘を乗りこえて 黄海沖で敵にあい 砲弾あびて戦うて 敵の平遠 定遠撃ち沈め 鎮遠号を捕獲して めでたくがいせんいたします これが戦争のはじめにて 陸上海上大勝利
○お月さんなんぼ 十三七つ まだ年や若いぞ あのこをうんで この子をうんで だれにだかしょ お方に抱かしょ お万お万どこへいた 油買いに酢買いに 油屋の前で すべってころんで油一升かやした その油どうしたら 犬がなめてしもうた その犬どうしたら その犬殺した その皮どうしたら 太鼓に張った その太鼓どうしたら 祭りの晩に あっち向いちゃ ドンドコドン こっち向いちゃ ドンドコドン たたき破ってしもうた そのやぶれどうしたら せったに張ってしもうた そのせったどうしたら はいてはいてはきやぶってしもうた そのやぶれどうしたら 犬がくわえてしもうた
○いちばんさいしょは一の宮 二で日光東照宮 三でさぬきの金比羅さん 四で信濃の善光寺 五つ出雲の大社 六つ村々鎮守様 七つ成田の不動様 八つ八幡の八幡宮 九つ高野の弘法さん 十で所の氏神さん
○日露談判破裂して 日露戦争始まった さっさと逃げるはロシアの兵 死んでも尽くすは日本の兵 五万の兵と戦いて 六人残して皆殺し 七月七日の戦いに ハルピンまわって攻めぬいて クロバトキンの首をとり 東郷大将 万万歳
○青葉繁れる桜井の 里のわたりの夕まぐれ 木の下蔭に駒とめて 世の行く末をつくづくと しのぶよろいの袖の上に 散るは涙かはた露か (小学校唱歌)

 手まりはうたを歌いながら、手でぽんぽんとついて遊んだ。手まりをつくとき、足をまりの上でまわしたり、またをくぐらせたりしながら次の子に、一小節ずつ歌っては引きついでいき、最後の子どもが、うしろで腰のところでうけて終わる遊びで、女の子が好んでする遊びであった。

 せっせっせ(二人が向かい合って、手をうったり合わせたりしながら歌ううた)
 一にこっぷりげた はなおがたァよる
 二でにわはきゃ ほうきがたァよる
 三でさけのみゃ おさかながたァよる
 四つよめさん むこさんがたァよる
 五ついとひきゃ おくるまがたァよる
 六つむくつきゃ はごいたがたァよる
 七つなく子にゃ おんばさんがたァよる
 八つやまいきゃ おべんとがたァよる
 九つこめつきゃ おうすがたァよる
 十でとのさま おやりがたァよる

 鬼ごっこのときのうた
○鬼さんこちら手のなる方へ
○鬼の来るまで 豆いって待ちょろ
○おにの来る間に 豆いってかもう
○じようり(ぞうり)かくし ちゃろれんぼ 橋の下のねずみが じようりをくわえて チュウ チュウ チュウ チユウチュウの まんじゅは 誰が食た だあれも食わない わしが食た

 かごめ遊びのうた
○かあごめ かごめ かごの中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に つるとかめがすべった うしろの正面 だァーれ
○中の中の弘法大師 なぜ背が低いぞ こうまい時にえび食べて それで背が低いぞ 後ろの者 だァーれ
○せーれんかずわら かごんだ まんじゅやの角で火を打って たばこのんで チョイとかごんだ あとの者 だーれ

 かごめ遊びは、みんなで手をつなぎ、まん中に目をつむって坐っている鬼のまわりを、これらのうたを歌いながら回って、歌い終わると腰を下ろして、鬼にまうしろにいる子をあてさせる遊びである。

 縄とびうた
○大波小波 風が吹いたら まわしましよ 一りき二りき 三りきりきりき すっぽんぽん
○おひとりさん おーはいり 今日は ジャンケンポン あいこでしょ あーらしょ 負けたお方は お出なさい
○おーはいり はいよろし ジャンケンポン 負けたお方は出てちょうだい

 縄とびは人が縄をまわしながら中へはいって、いっしょにとぶ遊びと、二人がまわして一人がはいり後からはいった人と、うたに合わせてジャンケンをし、勝った子どもが残って、またはいるという遊びである。

 子とろ
○子とろ子とろ どの子がほしけりゃ あの子がほしい 連れていんで何食わしゃ 鯛や 骨じゃこ いか買うて食わそ それはあんまり骨かましい せんちのはたのしゃしゃぶい みそつけて食わそ それはあんまりほろきしゃない 川のはたいてむしろしいて しゃごのみをぬかそ そうりやあんまりしんきくさい 金の着物着せよ それならよかろ

 ものまね遊び
○羅漢さん 羅漢さん 羅漢さんがそろたらそろそろはじめましょ スツポンポン スツポンポン

 指遊び
○いびつく にびつく さんびが早い お姫さんが指つくらんちゃんぽん

 にらめっこ遊び
○羅漢さん羅漢さん にらめっこしましょ 笑ろたらだめよ(羅漢さんのこわい格好をまねて相手をにらみつけ、笑ったらまけになる)

 関所遊び
○通りやんせ 通りやんせ ここはどこの細道じゃ 天神さまの細道じゃ ちょっと通してくだしゃんせ ご用のないもの通しゃせん この子の七つのお祝いに お札を納めにまいります 行きはよいよい 帰りはこわい こわいながらも 通りゃんせ 通りゃんせ

 二人が両手を向かい合わせてにぎり、その下をくぐりぬけて遊ぶ時に歌ったうたで、つかまった者がはみだされる遊びで、うたに合わせて通っていった。

 手遊びのうた
○一がさした 二がさした 三がさした 四がさした 五がさした 六がさした 七がさした 八(蜂)がさした ブーン くまんばちがさした ブーン(そこでつめくる)

 手をひき合って遊ぶときのうた
○井戸のがわせの 大水車 水にせかれて どんどとまわる 一寸たかなんぼ 一匁五分 もつとまからんか まかることならん まからにや ほいとせ ほいとしょも わんがない わんがなきゃ ぼいだせ

 とんぼつり
○とんぼゝ しおからとんぼ もちざおもつも おまえはささぬ ひなたはあつい こちへきてとまれ

 つんばなぬき
○つんばなぬいたか けぬいた へびならうごけ はめならじっとせ

 どんこ(川魚をとるときに歌う)
○どんこ どんこ どこいきや ようごわるきで せなあぶる

 ほたるがり
○ほたる来い 火やろ あっちの水はからいぞ こっちの水はあまいぞ ほッほッ ほたる来い
○ほ、ほ、ほたる来い そっちの水は苦いぞ こっちの水は甘いぞ ほ、ほ、ほたるこい あんどのかげから しのんでこい

 からす
○あーとのかあらす さーきいけ さーきのかあらす あーとにいけ 山のお家がやけよるぞ 早よいんで 水かけよ

 お月見のうた
○お月さんなんぼ 十三 九つ まだ若い若い だれにだかそか だれそれさんにだかそか

 おひなさんのうた
○ひなさんゝ またおいで 来年の三月に さくらの花の さくじこに

 幼児をあやすうた
○ちょうち ちょうち ちょうちや わかぐり わかぐり わかぐりや じんのみ じんのみ じんのみや おつむ てーん てーんや

 たこあげのうた
○たこたこあがれ 天まで上がれ 字だこに絵だこ どちらもあがれ

 雨のうた
○あーめえ あーめえ降るなよ やーまの鳥が鳴くぞよ
○雨も降らんのに傘さして 一文でーこに笑われた
○夕やけこやけ あーした天気になーれ

 ほうしことりのうた
○ほうしこ ほうしこ 山の中のとうなの子 とうながしんでも 出て来い とうながしんだら かねたたく
○ほうしこ ほうしこ でてこい 出んとかまでぶち切るぞ
○ほうしこ ほうしこ だれの子 やぶの中の とうなの子
 
 小さい子の遊びのうた
○ひに(一)ふに(ニ)だあ(三)だるま(四)こうて(五)ちい(六)ちんがら(七)ほけ(八)きょの(九)とんがらし(十)

 小さい子に十までのかずを覚えさすために歌ったものである。

 かんづくし
○みかん きんかん さけのかん おやじのせっかん 子がきかん びんぼのもとだちゃ働かん