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伊予市誌

二六、伊予岡八幡神社の八角さん (上吾川)

 伊予岡八幡神社は、上吾川の小高い緑の丘にあって、一、一〇〇年ほど前に建てられたと伝えられる古い神社である。この神社のおみこしは、珍しく八角の形をしていて立派なものである。これは、下吾川の田中権七という人形師が、明治時代の初めごろに心をこめて作ったもので、氏子の下吾川と上吾川の人びとは、八角さんと呼んで自慢の種にしている。おみこしといえば、四角のものが普通なのだが、こんな形になったのには、次のようないわれがある。
 氏子である上吾川の百姓と、下吾川の百姓との間で、たびたび水争いが起こり、血の雨が降るといった争いにもなり、けが人まで出る始末であった。そこで、明治時代となったころ、上吾川と下吾川の主だった人びとが集まり、前に庄屋であった人にもはいってもらって、いろいろ相談をした。そして、これならというきまりを作り上げた。
 しかし、このきまりがしっかりと守られるためには、両方の村の百姓たちが、仲よく一つ心にならねばならない、ということになった。そこで、みんなが考えた末、まず、上吾川と下吾川の四角いみこしを合わせ、八角のおみこしを作った。この八角さんは、米四俵分(約二四〇㌔㌘)の重さがある。