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愛媛県史 原始・古代Ⅰ(昭和57年3月31日発行)

2 平城貝塚からの自然遺物

 外海的漁撈を思わせる自然遺物

 昭和二九年(一九五四)の発掘調査による貝の種類は、ハマグリ・アワビ・サザエ・カガミガイ・ツメタガイ・イタヤガイ・カキ・チリメンボラ・サルボウ・アカフジツボ・アコヤガイ・レイシ・カガミガイ・トコブシ・フトヘナタリの採集が報告され、全体の量ではハマグリが量も多く、ついでフトヘナタリ・ハマグリとされている。その後の四七年(一九七二)の調査によりハイガイ・アサリ・アカニシ・マガキガイ・ツメタガイ・アマオブネ・ニシキウズ・ナガニシ・センジュモドキ・ショウジョウガイが追加され、量的にはカキ・フトヘナタリ・ハイガイ・サルボウ・ハマグリ・レイシ・カガミガイが主体になるものと報告されている。貝層形成の主体となる貝類については、今後に究明の余地を残している。
 魚骨遺体では、エイ・ススキ・タイ・ボラ・マグロそれにハタなどがあげられていたが、その後、モウカザメオナガザメ・ブリ・クジラなどが追加され、内湾的漁撈のみならず、広く豊後水道さらには、外洋をも対象とした漁撈の存在が示唆され、多くの課題が提出されるところとなっている。
 動物遺体では、シカ・イノシシが主体となるが、他にタヌキ・ウサギ・ニホン犬が検出されたほか、小形のウマの歯が検出されている。後述するごとく山神遺跡Ⅰ区の第三号環状列石からは、ウマの埋葬遺構が検出され、丁重な埋葬形態がうかがえるだけに、この時期すでに遠隔地にむけての荷役など、深く人間の生活と関わった存在とし得るものであろうか。これまた今後の究明にまつところが多い。その他、鳥骨の遺体も多く、またこれらの骨を素材とする骨角器も数多く残されている。