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愛媛県史 芸術・文化財(昭和61年1月31日発行)

二 古代・中世の絵画

 中世末期の戦国争乱は、わが伊予にとりまことに厳しい時代であった。数百年にわたりこの地を統治した河野氏も滅亡、それまでに蓄積されたさまざまな文化財も、ほとんど壊滅状態となる。絵は建築・彫刻に比し流動しやすく、長期の保存に耐え難い。したがって、当時の様子をうかがう遺作は極めて少なく、その記録も皆無に近い。
 古代・中世を通じ、仏教文化の隆盛とともに県内各地に建立された古社寺には、その縁起・仏画の類も数多く作られたが、そのごく一部が、いま表1-1の如く県指定の文化財となっている。
 これらの資料によっても優れた絵画の存在を推測し得るが、その作者もわからず、当時の様子をうかがうことは困難である。したがって、遺墨や記録により、その作者・画流その特質などを確かめ得るのは近世以降、伊予八藩成立のころからである。

表1-1 県下における古代・中世の絵画一覧

表1-1 県下における古代・中世の絵画一覧