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愛媛県史 文 学(昭和59年3月31日発行)

一 児童文学の範囲

 本稿で取り扱う「児童文学」は、童話・少年(少女)小説・伝記・ノンフィクション・評論・民話及び児童文学周辺の絵本・漫画・台本(演劇・映画・放送・紙芝居・スライド等)とし、「子どもたちのために書かれた文学的な作品」をすべて包含することとした。
 児童文学を思潮・流派等で分類するには余りにも分散しすぎるので、ジャンル別に、おおよその年代を追って、作家中心に述べることとする。
 日本児童文学史の中で重要な位置を占めている愛媛県関係の主要な作家の多くは、中央での業績がほとんどであるのでそこに筆を用いることが多いかたむきは避け難い。郷土在住作家も明治以降の大きい流れの中でとらえて行きたい。
 本県では、今だかつて児童文学史編さんの試みすらもなかったので他のジャンルと較べ、現段階での県内資料はきわめて乏しい。資料収集の過程ですでに故人となられていたり、あるいはむなしく資料散逸といった例にもしばしば出会った。作家作品の取捨選択に均衡を欠くことを惧れるが、この稿が一つの試金石となり、今後、多くの識者の手で補われ完稿となることを念願する。