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愛媛県史 文 学(昭和59年3月31日発行)

3 県内の創作活動

 仲田庸幸の『田舎教師の記』(昭17)。伊予郡双海町生まれ。広島高師卒。伊予の漁村を背景に小学校の青年教師と教え子や地域の人々との交流を通して、人間性の〝純粋〟を求めようとした作品である。著者は愛媛大学教授・文学博士。昭和三九年、大学生の青春を描いた『星はさびしく』を刊行。
 農民文学『土の尖兵』(昭19)。武田勝義(明治四三 一九一〇~)は北宇和郡広見町生まれ。農業を営みながら土に生きる人々の生活を描く。昭和二一年五月からは、愛媛新聞に「愛憎の土」を百回連載。昭和五二年に単行本として刊行している。
 戦記として、原田末一(明治二九 一八九六~)の『戦盲記』(昭18)がある。今治市生まれ。陸軍少尉。日支事変で召集、揚子江沿岸敵前上陸の際に敵弾のため両眼を失明した。
 なお、昭和初頭、松山高等学校生徒の宮本顕治・金達寿・平田陽一郎らは『松高創作集』を発刊した。