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愛媛県史 民俗 上(昭和58年3月31日発行)

第三節 講  集  団

 講あるいは講中と称する結社集団は、大別して信仰的な講と、経済的動機で結集する講の二つがある。
 信仰的講はさらに、著名な社寺の信者集団からなり、代参を伴う崇敬講と、代参を伴わない山の神講、日待講といった原初的な民間信仰から成立した講とがある。そのほかに職業的な講や交際的な講が考えられるとして、野口光敏は愛媛県にある講を次のように分類している。

1 信仰的な講…金毘羅講、和霊講、石鎚講、出石講、太山寺講、芋地蔵講、厳島講、谷上講、奈良原講などのほか、伊勢講、祇園講、念仏講、庚申講、大師講など
2 経済的な講…頼母子講、無尽講、ふとん講、萱講、瓦頼母子など
3 職業的な講…太子講、龍王講など
4 交際的な講…オナゴ講など

 これらのうち、信仰的な講は、その分布に特色を持つものが多い。和霊講・出石講・奈良原講・大三島大社講等の分布図は下巻の付録におさめている。また後述するように、県外の社寺に係る講のうち、伊勢講と金毘羅講はほぼ県下一円に見られ、宮島講・出石講は主として東予及び中予地方の島嶼部に偏在する。箸蔵講は、金毘羅宮の奥の院としての寺に係わる講であるため、金毘羅講とほぼセットに存在し、東予地方と上浮穴郡内に多い。
 これまで、県内のこれらの講集団についての体系的な研究はほとんどなかったため、講によっては精粗が生じるかも知れないが、一応の代表的な講の実態についてのべてみる。