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愛媛県史 社会経済4 商 工(昭和62年3月31日発行)

五 県内各市の下水道

 松山市下水道

 松山市は中央部(中央処理区)七三〇㌶を対象として、昭和三三年(一九五八)四月、県下で初めて終末処理場を有する公共下水道事業(拡張改良)の認可を受け、同年一〇月下水処理場の建設に着手した。そして同三七年七月一〇日、高速散水濾床法による下水道中央処理場(写真公2-8。松山市生石町南江戸四丁目)の一部供用を開始した。その後昭和五三年度には、活性汚泥法の処理施設が完成し、引き続き管きょなどの整備・拡充が図られている。
 また今後の整備については、西部・北部処理区についても逐次実施される方針で、既に西部処理区については計画を策定中である(表公2-11)。また整備状況などを図示したものが図公2-7である。なお昭和五八年度末の整備状況は、処理区域面積一、三六三㌶、処理人口一三万人、人口普及率三一・二%である。
        
 今治市下水道

 今治市は終戦後、戦災復興土地区画整理事業で、造成した街路の排水を行うため排水管を設置したが、これは在来の水路に排水する程度のものであった。昭和二八年(一九五三)四月に初めて、下水道計画により幹線下水管及び流末の排水ポンプ場の建設に着工した(表公2-12)。その後昭和四七年三月、本格的な公共下水道計画を策定し、終末処理場の建設に着手した。そして昭和五一年(一九七六)五月、下水浄化センター(写真公2-9今治市天保山町四―六―二)と天保山ポンプ場が完成したことにより、市内中心部の一部一四八㌶を対象に、下水処理を開始した。なお処理場面積は、三万三、〇七七平方㍍、処理能力一日三万六、五〇〇立方㍍、建設費四五億八、〇〇〇万円、処理方式は標準活性汚泥法方式である。また昭和五五年度末の人口普及率は松山市(二八・一%)に次いで二五・四%、さらに五八年度は、処理区域の拡大に努めた結果、普及率は松山市を抜いて、三三・九%に達した。なお下水道系路図を図公2-8に示した。
 また当市では、昭和三六年度より都市下水路を建設しており、事業終了したもの及び現在建設中のものとして、次の三か所がある。
 青木都市下水路………集水面積一四七・九㌶。昭和三六年度着工・四〇年度完成。
 高部下都市下水路……集水面積五八㌶。昭和四七年度着工五七年度現在休止中。
 桜井都市下水路………集水面積九一㌶。昭和五二年度着工。休止中。
さらに当市には、前項で述べたとおり、現在県内唯一の「特定環境保全公共下水道・塔か谷」があり、昭和五四年三月完工以来地域の下水処理に当たっている。
 その他、住宅団地を対象とする唐子台小規模下水道を建設している。これは雨水と汚水の分流排除方式を採用しており、それぞれの宅地内に汚水桝を設け、これを「唐子台下水処理場」(今治市唐子台西一丁目六の一)と直結して処理を行っている。その規模は、計画利用戸数一、〇六六戸(昭和五九年三月末利用戸数九九六)、計画利用人口五、五〇〇人、処理方式は標準活性汚泥法である。なお事業費は一億六、一三四万円、工事期間は昭和四八年五月~四九年三月であった(『伸びゆく今治市の下水道』昭和五九年四月、今治市水政局による)。
         
 新居浜市下水道

 当市の下水道事業は、昭和三五年より、四五・五㌶を処理面積として、合流式で主として雨水排除を目的として進めてきた。その後、水質汚濁などの環境に対応すべく、昭和四八年一二月に市全体の公共下水道基本計画を分流式で策定し、第一期事業として、市街地の中心部三二二㌶を一〇か年計画で整備するため、昭和四九年一二月、「新居浜市下水処理場」(四分の一系列)の建設に着手した。そして昭和五四年度末には、下水処理場の処理開始と、市街地の一部に供用を開始した。なお事業の概要は次のとおりである。

 〈処理場名〉新居浜市下水処理場(写真公2-10)。〈処理場位置〉新居浜市菊本町二丁目一五の一 〈処理場面積〉一四万六、〇五一平方㍍ 〈処理能力〉一日当たり二万〇、五〇二立方㍍ 〈処理場建設費〉一〇七億五、五〇〇万円 〈工期〉昭和四九年一二月~五七年三月 〈処理開始〉昭和五五年三月三一日 〈下水処理面積〉昭和五八年度末二二一㌶ 〈処理人工〉五八年度末一万一、九〇〇人 〈人口普及率〉五八年度末 九・一%。なお当市公共下水道系路図を図公2-9に示した。

         
 伊予三島市下水道

 当市では、一般汚水を対象に分流式を採用している。昭和四七年(一九七二)二月に公共下水道計画を決定し、翌四八年六月、市街地一二○㌶の認可を受け、同年一一月事業に着手した。終末処理場(伊予三島市下水処理場。伊予三島市中之庄町一六七一の一)は昭和五二年一〇月、建設に着手し、五六年三月末その一部が完成した。また汚水中継ポンプ場は、昭和五四年度に着工し、五六年三月末に同じく一部完成したので、この時点で市街地の一部七二㌶に対して供用を開始した。なお処理場の規模は、四万四、九七六平方㍍、処理能力一日当たり五、八〇〇立方㍍、建設費三七億〇、六〇〇万円で完成は、昭和五七年三月末であった。
 また当市下水道の整備状況は、昭和五八年度末で

 〈処理区域面積〉二三〇㌶ 〈処理人口〉一万二、九〇〇人 〈人口普及率〉三三・八%

で、松山市・今治市と並んで県下では整備の進んでいる地域である。なお引き続き、処理区域の拡大を目指す一方、排水設備など水洗化並びに一般市民に対する下水道普及に努めている。
         
 川之江市下水道

 昭和四八年一〇月、第一期事業として合流式により、市街地一〇〇㌶の認可を受け、同年一二月、事業に着手した。終末処理場(川之江市浄化センター。川之江市川之江町四〇八七)は、昭和五〇年一二月に着手し、五四年二月一日処理開始を行った。終末処理場の規模は

 〈処理場面積〉二万〇、一一五平方㍍ 〈処理能力〉一日当たり三、五八七立方㍍ 〈建設費〉二九億七、七〇○万円

である。なお昭和五八年度末の下水道整備状況は

 〈処理区域面積〉一一〇㌶ 〈処理人口〉七、四〇〇人 〈人口普及率〉一九・五%

であり、今後はポンプ場(川原ポンプ場。川之江港周辺)の建設を進め、処理区域の拡大を図る計画である。
         
 宇和島市下水道

 宇和島市では、終戦後、戦災復興のための都市計画を進めるに際し、重点事項として下水道整備を強力に推進することとした。そのため前項で示したように、昭和二二年度から四〇年度の間に、城東・城北・域西・神田川原地区合計一三四・一㌶に家庭汚水や雨水を排水するための下水管を敷設した。さらに四二年度から五〇年度にかけては、城南地区七四・七㌶に下水管の埋め込みを行った。これは雨水などによる浸水を防除することが主目的であったため、終末処理場が無く、家庭から排出された汚水は、下水管を通っても何等処理されないまま、直接須賀川や神田川に吐き出される状態であった。
 この間、公共下水道は、昭和四四年(一九六九)一二月の「下水道法改正」、「水質汚濁防止法制定」により、終末処理場の設置が必須条件とたったため、当市の下水道は国の基準に合致しないため、昭和四八年四月事業休止となった。
 しかし、近年の生活様式の変化と生活水準の向上などにより、当市周辺においても河川などの水質汚濁が進み、「水質環境基準」の設定に伴う水質汚染防止対策のため、法に基づく公共下水道の整備が緊急課題となってきた。そのため改めて、終末処理場設置を含む公共下水道全体計画を策定し、第一期計画として昭和五八年度より事業を開始した。その計画概要は次のとおりである。

 〈工期〉昭和五八年度~六七年度目標 〈計画面積〉一七一・八六㌶ 〈計画人口〉一万一、六七〇人〈処理方式〉分流式、標準活性汚泥法 〈処理能力〉一日当たり一万二、〇〇〇立方㍍

 その他の各市下水道

 八幡浜市では昭和四九年六月、終末処理場を有する公共下水道事業の認可を受け建設に着手した。終末処理場(八幡浜浄化センター。八幡浜市大字栗野浦字フクロセ。計画処理能力一日当たり六、六五〇立方㍍)は昭和五六年一一月着工し、整備を進めている。
 伊予市では、昭和四七年に既成市街地約四五㌶の雨水排除を目的とした都市下水道幹線(径一、六五〇㍉㍍~七〇〇㍉㍍)延長約一、三七〇㍍を設置した。次いで四九年一月、市街化区域三四〇㌶のうち、八三・七㌶、計画人口一万一、〇〇〇人を対象とする第一期公共下水道事業の認可を受け、管渠整備を進めている。なお終末処理場(伊予市終末処理場。伊予市下吾川南西原)の計画処理能力は一日当たり八、〇八二立方㍍である。
 また西条市では、市内中央を流れる加茂川の清流を守り、併せて浸水防除を目的として昭和四八年一二月、市街化区域のうち七〇九㌶を対象とする公共下水道計画を策定し、そのうち三六八㌶、計画人口二万六、〇〇〇人を対象に第一期計画の認可を受け、昭和四九年度から事業に着手した。その後、雨水施設では本陣川、続いて唐樋雨水ポンプ場を建設し、汚水施設としては、管渠整備に加え昭和五六年一二月終末処理場の建設に着工した。西条市終末処理場は、西条市港字北新地四〇〇に所在し、計画処理能力は一日当たり一万〇、四六〇立方㍍である。
 さらに北条市では、瀬戸内海水質汚濁防止をスローガンに、分流式単独公共下水道として、昭和五〇年八月市街化区域全域三八四㌶を対象とする計画を策定し、昭和五一年二月に立岩川と河野川に囲まれた市街地中心部一八七㌶、計画人口一万一、七五〇人に対する事業認可を受け工事に着手した。終末処理場(北条市下水浄化センター)は、北条市下難波字法橋に所在し、計画処理能力は一日当たり八、〇〇〇立方㍍である。

表公2-10 県内公共下水道整備状況

表公2-10 県内公共下水道整備状況


表公2-11 松山市下水道整備状況

表公2-11 松山市下水道整備状況


図公2-7 松山市公共下水道系統図

図公2-7 松山市公共下水道系統図


表公2-12 今治市公共下水道事業認可の経過

表公2-12 今治市公共下水道事業認可の経過


図公2-8 今治市下水道経路図

図公2-8 今治市下水道経路図


図公2-9 新居浜市公共下水道経路図

図公2-9 新居浜市公共下水道経路図