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愛媛県史 社会経済3 商 工(昭和61年3月31日発行)

三 農林水産業の地域別構成

 宇和島圏での水産業の拡大

 市町村内純生産によって、県全体の第一次産業生産所得に占める各圏域のシェアをみると、昭和四五年度には松山圏三一・二%、八幡浜・大洲圏二二・六%、宇摩圏一六・五%の順であった。その後は、東・中予の各圏域がシェアを漸次低下させ、八幡浜・大洲圏は横ばい、宇和島圏だけは徐々にシェアを拡大して、五五年度には二九・四%を占め第一位となった。第一次産業の内部構成では、四五年度には、どの圏域においても農業が圧倒的比重を占めていたが、五〇年度には水産業の比重が幾分高まり、五五年度はさらに拡大した。とくに宇和島圏では水産業の比重が六九%に達し農業を抜いて主要産業となった。
 次に農業について、農家動向をみると、農家数は毎期減少を続け、三五~五五年の二〇年間に県全体で三万八、〇〇〇余戸(二八%)の減少を遂げた。とくに宇和島圏の三九%減と八幡浜・大洲圏の二八%減が大きかった。五〇~五五年には各圏域とも減少テンポは鈍化した。農家の兼業化はさらに急速に進行し、三五~五五年の間に専業農家は四六%減少し、第一種兼業農家(農業を主とする農家)も五九%減少した。逆に第二種兼業農家(農業を従とする農家)は三六%増加した。その結果、昭和五五年の専・兼別割合は、専業農家一九%、第一種兼業農家二一%、第二種兼業農家六〇%となった。
 また農業就業人口は、四〇~五五年の一五年間に県全体で三七%減少し、最も減少率の高い宇和島圏では四五%減、最も減少率の小さい八幡浜・大洲圏でも三四%減少した。農業機械が急速に導入された四五~五〇年に、とくに減少率が高かった。農業就業人口の高齢化も深刻で、六〇歳以上の割合は四五年の三〇%から五五年の三九%へ上昇し、なかでも今治圏(五五年四四%)、宇摩圏(四三%)、新居浜・西条圏(四一%)で高齢化が進んでいる。

表産5-18 農業就業者人口の推移

表産5-18 農業就業者人口の推移