データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

愛媛県史 社会経済3 商 工(昭和61年3月31日発行)

一 人口の地域別構成

 松山圏への人口集中

 愛媛県における産業構造の変化は、その内部の地域構造をも変化させた。高度成長期から安定成長期にかけて、愛媛県内の各地域の経済構造はどのように変化したか。幾つかの指標について概観しておこう。地域の区分は県の指定した六つの地方生活経済圏にしたがい次の通りとする。宇摩圏(川之江市・伊予三島市・宇摩郡)、新居浜・西条圏(新居浜市・西条市・東予市・周桑郡)、今治圏(今治市・越智郡)、松山圏(松山市・伊予市・北条市・温泉郡・上浮穴郡・伊予郡)、八幡浜・大洲圏(八幡浜市・大洲市・喜多郡・西宇和郡・東宇和郡)、宇和島圏(宇和島市・北宇和郡・南宇和郡)である。
 昭和三五~五五年の二〇年間における各圏域ごとの人口の推移をみると(表産5-16)、人口が増加したのは松山圏一二万人増、新居浜・西条圏三、〇〇〇人増、今治圏二、〇〇〇人増であり、減少したのは八幡浜・大洲圏七万人(二五・三%)減、宇和島圏四万二、〇〇〇人(二八・一%)減、宇摩圏六、〇〇〇人(六・三%)減である。高度成長期には松山圏を除いて、すべての圏域で人口は減少したが、低成長期に入って八幡浜・大洲圏以外は増加なし横ばいに転じた。この結果、圏域別人口シェアは、東予の各圏域がほぼ横ばいで推移し、松山圏は三五年三〇・八%から五五年三八・六%へとシェアを高めた。他方、南予の二圏域は漸次シェアを低下させた。人口集中の進む松山圏では都市化が進展し、人口集中地区人口は五五年には五六%となった。南予では周辺部の過疎化が続くなかで高齢化が進行し、老年人口指数(老年人口/生産年齢人口)は、県平均が昭和三五~五五年に一二%→一八%へ上昇したのに対し、八幡浜・大洲圏は一五%→二三%、宇和島圈は一五%→ニ二%と高齢化のテンポが速い。
 次に就業構成の推移をみると(表産5-17)、どの圏域も第一次産業比重の低下、第二次産業・第三次産業比重の上昇となっている。第二次産業のウエイト上昇傾向は、各圏域とも昭和四五年以後は鈍化するが、宇和島圏のみは四五年一五%から五五年二二%ヘウエイトを高めている。第三次産業比重は、どの圏域においても上昇テンポが速まっている。特化状況をみると、八幡浜・大洲圏と宇和島圏は第一次産業特化か顕著であり、東予三圏域は第二次産業に特化し、第三次産業に特化しているのは松山圏だけである。松山圏はこの二〇年間に、卸・小売業とサービス業の比重がそれぞれ一八ポイント高まり、県都松山市を中心とするサービス経済化の着実な進展を示している。

表産5-16 圏域別人口の推移

表産5-16 圏域別人口の推移


表産5-17 産業別就業者割合

表産5-17 産業別就業者割合