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愛媛県史 社会経済3 商 工(昭和61年3月31日発行)

三 原始生産物

 林産物

 旧幕期においても木材及び薪炭などの林産物は各藩の必要を満たすとともに、大都市に送られて米に次ぐ重要商品として流通していた。各地方都市でもそれぞれの需要に応じた商品化が進んでいた。しかし、明治七年の時点では幕府直轄林や藩所有林が明治新政府に引き継がれたあと、官林経営がまだ軌道に乗っていないため各府県とも林業生産は停滞していた。愛媛県では、各種の丸太・角材・板・柱などの木材類の生産額は三万円にすぎ各藩の必要を満たすとともに、大都市に送られて米に次ぐ重要商品として流通していた。各地方都市でもそれぞれの需要に応じた商品化が進んでいた。しかし、明治七年の時点では幕府直轄林や藩所有林が明治新政府に引き継がれたあと、官林経営がまだ軌道に乗っていないため各府県とも林業生産は停滞していた。愛媛県では、各種の丸太・角材・板・柱などの木材類の生産額は三万円にすぎない。生産の内容は松丸太・松角材と杉丸太が中心で桧材は少ない。林産物の中では薪の生産比率が高く、入会地などで採取され商品化されていたようである。その大部分は地元に展開する醸造業やその他農産加工業の燃料として供給されるとともに、一部は海運によって畿内へ供給されていたとみられる。愛媛の林産物で特徴的なのは植物皮葉類のうち楮皮の産出高が二六万貫、七万円と飛び抜けて高いことである。他方、桑葉は極めて少ない。林産物生産価額の全体に占める割合は三・五%で全国平均よりも低い。

 水産物

 魚介類の種類は豊富であったが、漁獲高はそれほど多くない。それでも生産額比率は全国平均の倍の水準にある。鰯と鯛が最大の漁獲物であり、両種合わせて漁獲高の五四%を占める。鰯は生鰯に干鰯を加えると七万円で全国第五位の水揚げである。鯛の漁獲高は四万円で山口県に次いで第二位の主産地であった。

 鉱産物

 金銀銅鉄類として丁銅八一万八、〇〇〇斤、一七万円をあげている。別子銅山は、新政府に一時接収されるが引き続き請負稼業を認められ、明治四年から経営上の諸改革を実施し、近代化への道を歩み始めた。折しも明治七年三月には、フランス人技師ラロックを招き、銅山近代化の基本計画を策定した。以後、近代化事業の進捗につれて産銅量は逐年増大した。その他鉱産物では石灰五、〇〇〇円と砥石四、〇〇〇円を産し
ていた。鉱産物比率は二・五%で、別子銅山の採鉱が著しく落ち込んでいた当時にあっても全国平均の倍以上のウエイトをもっていたわけである。

表産2-7 原始生産物

表産2-7 原始生産物