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愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

二 土壌改良事業


 土づくり

 開拓地土壌の実態は、前項「地区別土壌調査表」のとおりその大部分が酸性土壌であり、かつ燐酸欠乏土壌であった。これら開拓の癌である不良土壌、特に酸性土壌を改良するために、昭和二三年度から開拓者資金による特殊融資制度をもって、炭カル導入が開始されたのを端緒にして、開拓地土壌改良事業が開拓されたものであるが、本事業もその目的及び実施状況などから見て、次の四期に大別される。

 第一期 特殊融通期(昭二三~二五)
 開拓者資金融通法に基づく基本営農資金の一部をもって、炭カルの現物導入を行なった期間であり、開拓地不良土壌改良巡回指導調査班により、炭カルの性質及び使用法とその効果などについての啓蒙指導も同時に行なわれた。
 第二期 酸土改良期(昭二六~二七)
 国の補助事業として酸性土壌改良事業が開始された期間であり、改良面積は、表3-14のとおり昭二六=二五七・三ha、昭二七=四一四・〇五ha、計六七一・三五haである。
 この期における土壌改良事業は、別表のとおり新規開墾地を対象として一〇a当たり炭カル〇・二六t、熔燐○・○五tで、国費二分の一、県費二分の一の全額補助をもって開始されたが、翌二七年には、過年度開墾地も事業対象として、拡大されるとともに、炭カル〇・四t、熔燐○・○五tと改訂されたものである。なお、酸性土壌改良のために炭カルのみならず燐酸が土壌改良資材として、本事業の対象となったことは特筆すべきである。
 第三期 耕土培養期(昭二八~三四)
 耕土培養法に基づき、土壌改良事業が行なわれた期間で、この期においては、従来の新規開墾地、過年度開墾地のほかに、新たに特殊土壌地帯の土壌改良が事業対象として追加されている。なお、三二年度から第一次振興対策に基づく要振興対策地の土壌改良を行なうように追加改訂されたものである。
 第四期 地力保全期(昭三五~四四)
 開拓地営農振興対策の実施に対応するため、従来の耕土培養法に基づく法律補助と、新たに振興対策地の土壌改良(地力保全)を対象とした予算補助との二本立てで事業が行なわれた期間である。この期においては、従来の実施要領を全面的に改正して、開拓地に広く分布する強酸性土壌・礬土質土壌・腐植欠乏土壌などを対象として、石灰・燐酸質資材及び第二種複合肥料(固型肥料)などの改良資材と、これに関連して事業実施上必要な土壌検定器・農業用シート・石灰散布機の購入に要する経費が補助対象とされている。また、土壌改良についても耕土三寸改良(人畜力開墾分)と四寸改良(機械開墾分)を行なうものの二通りに改められた。
 土壌改良事業の実施概要は図3-4・表3-14のとおりである。

図3-4 開拓地耕土培養事業に基づく事業実施概要

図3-4 開拓地耕土培養事業に基づく事業実施概要


表3-14 年度別開拓地土壌改良事業実績

表3-14 年度別開拓地土壌改良事業実績