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愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

六 国有地の移管替え


 開拓財産への移管替え・所属替え

 大規模な開拓事業に必要な用地の確保について、緊急開拓事業では、『軍用地中、農耕適地は、自作農創設のため急速に開発せしめ、可及的速やかに払い下げの処分をなし、旧耕作者及び新入植者に譲渡するものとす』と定めていた。当時は、第一次農地改革に至る過渡期であり、開拓用地は、旧軍用地その他国有地に片寄らざるを得なかった。その後、国有林野及び牧野についても、引き続いて積極的な解放の方針や手続きが定められた。
 これらの用地の開放は、別に法律上の制度を新設せず、専ら中央所管官庁間の協定に基づいて行なわれたものであり、その手続きは、多少の差こそあれ、緊急開拓事業実施要領に即応するように定められた。従って開放を受けた相手方は、事業主体であって、個人入植者ではなかった。
 当時の計算によれば、内地開墾目標面積七六万町歩の所有者別内訳は、旧軍用地・国有林野・御料地などの国有地は約二九万町歩、民有地は約四七万町歩であり、しかも、終戦後「開放」された旧軍用地は、昭和二〇年度着工のものが、一一万町歩もあるから、いわゆる農地改革としての開拓用地取得の対象は、当然民有地にあった。
 昭和二〇年一二月、第一次改正農地調整法は、その要求にも応じようとするものであった。
 なお、本県における所管替えなどの状況は前記「未墾地取得実績表」のとおりであり、最大の所属替えは、大野ヶ原地区の七四七町歩余である。

図3-2 旧軍用地の移管手続

図3-2 旧軍用地の移管手続