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愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

二 補助事業①


  1 国庫補前事業
        
 漁場造成事業

 太平洋戦争終結以降の漁場造成に関する国庫補助事業を開始年代順にあげると、昭和二八年の保護水面設置事業以下魚礁設置事業・投石事業・つきいそ事業・大型魚礁設置事業・消波施設設置事業・海面環境保全事業・浅海漁場開発事業・アワビ幼稚仔保育場造成事業・魚貝類保育場造成事業・小規模漁場保全事業などである。これらの国庫補助事業が大規模に実施され始めたのは、昭和三七年に国が(第一次)沿岸漁業構造改善事業補助金交付要綱を定め、同事業を推進し始めた以降である。特に漁場造成関係事業は、つきいそ事業を除いて昭和四九年制定の沿岸漁場整備開発法に基づき、五〇年に国が定めた沿岸漁場整備開発促進対策要綱・沿岸漁場整備開発事業実施要領並びに同年県が定めた沿岸漁場整備開発事業費補助金交付規程によって、従来非公共事業で実施していたものを公共事業として大々的に実施せられるに至ったことは画期的なことである。昭和二八年~五八年の三一年間に実施した漁場造成関係事業(国庫補助事業)の合計は事業種類数一七事業、実施か所数一、一八五か所、事業費七八億二、八五〇万円であり、その明細は表13-8のとおりである。

 施設事業

 太平洋戦争後の施設関係の国庫補助事業を年代順に列記すると、昭和三一年の新農山漁村建設総合対策事業以下沿岸漁業振興対策事業・のり倉庫設置事業・種苗供給施設事業・のり人工採苗施設設置事業・漁業経営近代化促進対策事業(第一次沿岸漁業構造改善対策事業)・種ケ島周辺漁業対策事業・水産物産地加工施設建設事業・漁業経営近代化補足整備事業・水産共同利用施設災害復旧事業・のり保管施設等設置事業・漁業公害対策器具等購入事業・ブイロボット設置事業・赤潮被害防止施設設置事業・第二次沿岸漁業構造改善事業・特定水産動物育成事業・水産物流通加工センター形成事業・リマ周辺漁業対策事業・水産業同和対策事業・漁村緊急整備事業・地域沿岸漁業構造改善事業(新沿構)・広域沿岸漁業構造改善事業(新沿構)・養殖生産体制再編推進事業・水産業地域改善対策事業(同和対策事業)などである。施設関係事業についても本格的な事業が実施され始めたのは、前述した漁場造成事業同様第一次沿岸漁業構造改善事業が具体化した昭和四〇年以降である。全国の第一次沿岸漁業構造改善事業の実施計画は図13-1、表13-9に示したとおりであるが、本事業のねらいとするところは高度経済成長に即応し、他産業の発展計画とも充分関連性をもたせながら、漁業技術の向上と漁場利用の合理化の上に立って沿岸漁業を近代化し、零細経営から企業的な経営にまでその規模を拡大することによって、他産業従事者と漁業従事者との所得格差を是正して、その生活水準の向上を図ることにあった。
 第一次沿岸漁業構造改善事業が県下一円を一地域として行なわれたのに対し、第二次沿岸漁業構造改善事業は宇和海地域(昭和四六年~四七年調査、四八年~五一年事業実施)、伊予灘地域(昭和四九年調査、五〇年~五三年事業実施)、燧灘地域(昭和五〇年調査、五一年~五四年事業実施)の三地域に区分して行なわれた。各地域ともそれぞれ地域特性があるので沿岸漁業振興目標は異なるが、誘導すべき基本方向としては①浅海養殖の拡大 ②漁船漁業の経営安定と近代化 ③資源培養型漁業の推進 ④流通条件の改善 ⑤漁場の保全などを柱とした。
 次に昭和五五年度より六一年度まで各地域一か年間の調査、八年間の事業で開始された新沿岸漁業構造改善事業は目下燧灘一〇地域、伊予灘七地域、宇和海七地域の計二四地域の四一市町村に対して地域沿岸漁業構造改善事業が進められつつあるが、本事業実施による沿岸漁業の基本的誘導方向を ①資源培養管理型漁業の推進 ②沿岸漁業の担い手の育成確保 ③活力のある漁村の建設 ④漁協の営漁指導体制の確立と漁家経営の合理化⑤広域流通・加工体制の整備に置いている。


表13-8 国庫補助事業(漁場造成関係)(その1)

表13-8 国庫補助事業(漁場造成関係)(その1)


表13-8 国庫補助事業(漁場造成関係)(その2)

表13-8 国庫補助事業(漁場造成関係)(その2)


図13-1 年度別地域指定および事業実施予定表

図13-1 年度別地域指定および事業実施予定表


表13-9 昭和38年度までに指定を行った地域名

表13-9 昭和38年度までに指定を行った地域名