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愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

四 水産加工業協同組合・同連合会


 水産加工業協同組合

 昭和二三年一二月制定の水産業協同組合法で新しく規定された水産加工業者を組合員とする協同組合であって沿岸地区漁協同様購買、販売事業のほか信用事業もできることとなっている。
 昭和二五年には松山・今治・宇和島・八幡浜・新居浜・南宇和・川之石の七地区に煉製品水産加工業協同組合が設立された。設立年の出資金は最高六〇万円~最低一万二、五〇〇円、総額一〇八万六、五〇〇円であった。組合員数は最大八二名~最小一五名で総組合員数は二六八名で構成されていた。その後の水産加工業協同組合設立・解散の状況は表10-18のとおりであり、昭和五二年度に解散した今治煉製品水産加工業協同組合を最後にすべて組合経営悪化により解散した。これらのうち昭和五〇年代まで実在していた松山・今治両煉製品水産加工組合連合会について略記する。

 松山煉製品水産加工業協同組合は設立発起人一六名(代表上野豊、松山市高浜町)が中心となって昭和二五年一月一一日松山市三穂町、松山地方蒲鉾工業組合事務所にて創立総会を開催し、二月二四日知事より設立認可となった。二五年三月末日現在の組合員は松山四四、郡中三、東中島一、北条五の計五三名であった。組合地区は松山市、温泉郡、伊予郡、上浮穴郡一円とし、事務所を松山市に置き初代組合長は発起人代表が選任された。
 同組合の名称は統制時代のもので現状になじまないとして、これを松山蒲鉾水産加工業協同組合に変更することとし三〇年八月四日認可された。その後組合運営はつづけられたが五一年三月末日現在で正組合員数が一四名にまで減少したため水協法で定める一五名を割ることとなったので組合を解散することとなり、同年五月一二日解散届が知事に受理され解散した。

 今治煉製品水産加工業協同組合は設立発起人代表木村峯歳(今治市大字別宮)らが中心となって創立総会を昭和二五年一月一四日開催したが設立同意者数三四名、当日出席者三四名によって初代組合長には発起人代表が選出された。同年二月一日知事より設立認可となったが、組合地区は今治市、越智郡、周桑郡とし、地区内に住所を有する水産煉製品加工業者を組合員とした。当初の出資金総額六〇万円、年間収入・支出予算は各一六万四、〇〇〇円であった。そして組合事務所を今治市に置いて組合運営がつづけられたが、昭和五〇年代に入って組合員の利得が少ないことを理由に組合解散の声が強くなり五二年三月一三日臨時総会を開催して三月末日をもって解散することを議決した。この解散理由を列挙すると ①組合財務状況が弱い ②累積赤字が出資額近くまである ③役員の忠実義務ができない ④組合員への加工材料供給等組合事業ができない ⑤脱退者が多数見込まれ法定数を割るおそれがあること等であった。解散届が知事に提出され、同年四月一一日認可となった。

 水産加工業協同組合連合会

 発起人代表上野豊(松山煉製品水産加工業協同組合長)らが中心となって昭和二五年三月二八日、愛媛県煉製品工業協同組合清算事務所において創立総会が開催され、組合地区を県下一円(上浮穴郡を除く)とする愛媛県煉製品水産加工業協同組合連合会が設立され、三月三一日知事より認可となった。組合員は当初松山・今治・八幡浜・宇和島・川之石・南宇和の六煉製品水産加工業協同組合を正組合員とし、このほかに東予水産加工商工業協同組合(西条市)を準組合員とし、初代組合長には発起人代表者が選任されて発足した。その後水協法の改正に伴い、四八年七月定款の全面改正を行なって組合財政基盤を強固にしその発展を期したのであるがその後次第に組合員自体の解散が相次いで行なわれたため、五一年五月現在では正組合員が今治蒲鉾水産加工業協同組合のみとなった。連合会は水協法第一〇〇条第五項の規定による解散届を五一年六月七日知事に提出し、同月三〇日受理されたが清算結了登記は五四年三月三一日となった。
 なお設立時の連合会の目的、事業を左記に、本県煉製品生産量の推移を図10-7に示す。

愛媛県煉製品水産加工業協同組合連合会定款(抜粋)
       第一章 総    則
第一条 この連合会は、会員が協同して、その事業の振興を図りもって、そ
      の傘下組合員の水産煉製品の生産能率を増進し、経済状態を改善
      し、社会的地位を高めるのに寄与することを目的とする。
第二条 この連合会は、左に掲げる事業を行なう。
     一 連合会を直接又は間接に構成する者(以下本条において「所
        属員」と総称する)の事業に必要な物資の供給
     二 所属員の生産物の運搬、加工、保管又は販売
     三 所属員の事業に必要な共同利用に関する施設
     四 所属員の製品、その原料若しくは材料又は製造若しくは加工
        の設備に対する検査に関する施設
     五 所属員の監査及び指導
     六 所属員の福利厚生に関する施設
     七 水産物の製造加工に関する技術の向上及び連合会の事業に
        関する所属員の知識の向上を図るための教育並びに所属員に
        対する一般的情報の提供に関する施設
     八 前各号の事業に附帯する事業


表10-18 水産加工協同組合設立、解散状況の推移(昭和25年~53年)

表10-18 水産加工協同組合設立、解散状況の推移(昭和25年~53年)


図10-7 愛媛県煉製品生産量の推移

図10-7 愛媛県煉製品生産量の推移