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愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

一 水質保全法・工場排水法


 水質二法

 公共水域の水質保全に関する法規制としては明治二九年制定の河川法で定められた「流水の清潔維持」の規定のほか、太平洋戦争終戦後の港則法・鉱山保安法・水産資源保護法等が制定せられたが、いずれも水質規制の根幹となるべき具体的な水質基準がなかったため、実効を発揮するまでに至らなかった。昭和三三年法律第一八一号「公共用水域の水質の保全に関する法律」及び可年法律第一八二号「工場排水等の規制に関する法律」が成立した。いわゆる水質二法と呼ばれるもので、従来の水質汚濁防止に関する法規制に比べ、具体性のある画期的な法律として注目された。水質保全の法律では、指定水域の指定・水質基準の設定・紛争の和解の仲介の三つが骨子であり、工場排水の規制法では、前者を受けて製造業などの事業活動に伴って生ずる排水の放流基準を定めるとともに排水施設の処理方法の改善命令などを出し得ることや、施設改良資金、技術面の援助を行なうことなどが主な骨粗となっている。水質保全法に基づく規制水域の指定が本県で最初に行なわれたのは昭和四六年一月二〇日の伊予三島、川之江水域であり、さらに同年五月二六日海域の環境基準が設定された。