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愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

二 漁業概況


 (1) 漁船漁業
 この地域の漁船漁業は瀬戸内海と異なり、九月~翌年四月までを漁期として豊後水道南部から日向灘にかけて操業される八幡浜を根拠地にもつ沖合底びき網漁業や、日向灘・足摺沖などで四月~八月頃を漁期とする近海かつお一本釣り漁業、さらに佐田岬以南から宿毛湾沖に至る広大な漁場で周年操業される御荘町・城辺町・西海町・三瓶町・宇和島市などのいわし・あじ・さば大中型まき網漁業などの沖合または遠洋漁業がかなり盛んに営まれている。これら以外の沿岸漁業としては全域的に盛んな小型機船底びき網漁業、南宇和郡・宇和島市・三瓶町などに多い中型まき網並びに小型まき網漁業、西宇和郡・宇和島市・北宇和郡などが主体のいわし・あじ・さば並びにさより機船船びき網漁業、同じくさわら並びにめじか流し網漁業、全般的に多く営まれるはまち・いさぎ追掛網漁業、並びにたこつぼ漁業、宇和島市が中心のかわはぎ敷網漁業、八幡浜市・宇和島市などに多いたきよせすくい網漁業のほか西宇和郡に多い雑魚沖建網漁業などの知事許可漁業や自由漁業としての一本釣り漁業が錯そうして操業されている。
 昭和五六年における指定漁業を除く一般漁業の生産額は約一四六億円で県下の三三%を占めている。

 (2) 浅海養殖業
 この地域の沿岸一帯はリアス式海岸で湾江に富み、地形的な有利さに加え、前述したとおり黒潮の影響をうけている関係から冬期でも水温が一二度Cを下ることがなく、そのうえハマチ稚魚、直珠稚貝などの養殖種苗の入手が比較的容易であるという好条件に恵まれているためハマチ・タイ・フグ・カレイなどの魚類養殖業や真珠・真珠母貝養殖業といった浅海養殖業が全域にわたって盛んに営まれ、本県における昭和五六年の海面養殖業生産額の九五%とほとんどを占め、約六二八億円に達し、これら浅海養殖業中ハマチ・真珠・真珠母貝の生産は現在日本一を誇っている。したがって、この海域の漁業の中心は従来の回遊性魚類を対象とした網漁業から生産性の高い浅海養殖業へと急速に移行してきたことが注目される。

図3-16 宇和海漁場図

図3-16 宇和海漁場図


表3-42 知事許可漁業許可隻数

表3-42 知事許可漁業許可隻数


表3-43 知事許可漁業一覧表 (昭和55年9月1日現在) 宇和海 (その1)

表3-43 知事許可漁業一覧表 (昭和55年9月1日現在) 宇和海 (その1)


表3-43 知事許可漁業一覧表 (昭和55年9月1日現在) 宇和海 (その2)

表3-43 知事許可漁業一覧表 (昭和55年9月1日現在) 宇和海 (その2)