データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

愛媛県史 社会経済2 農林水産(昭和60年3月31日発行)

一 漁場

 
 漁場の特色

 燧灘は東は備讃瀬戸から西は安芸灘に至る。北西部海域には越智郡諸島があり、南西部には斎灘がある。この斎灘と東部の燧灘とを結ぶところが来島海峡で、瀬戸内海の中では水深がかなり深く、海底の起伏も激しいところから潮流は大渦を伴い複雑で速い。燧灘の中央海域は新居浜から西条、周桑にかけて広大な浅海漁場が広がっており、沖合の水深も二〇m~三〇mの平坦な砂泥帯がつづいている。なおこの海域は東の紀伊水道と西の豊後水道の両方から潮流が合流または退潮をくりかえすところから干満差が三mを超える程大きい。水温は二月中旬には八度Cに下降し、九月上旬には二八度Cと寒暖の差が他海区よりも大きい。
 この地域には工業都市が沿岸部に接続し、一部海域においては、工場廃水などによる漁場環境の悪化がみられたが、昭和三三年の「公共用水域の水質の保全に関する法律」並びに「工場排水等の規制に関する法律」などいわゆる水質二法の制定や、昭和四二年の「公害対策基本法」「水質汚濁防止法」の制定をはじめとして、本県においても昭和四四年に「公害防止条例」を制定し、水質の上乗せ基準の設定、法律に先んじた総量規制の導入その他の公害防止対策が次々と打ち出されたことから海の浄化が進み、漁場環境も最悪期を脱し、好転してきた。