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愛媛県史 社会経済1 農林水産(昭和61年1月31日発行)

一 果樹生産に関連する統制


 肥料・農薬の統制

 昭和一二年「輸出入品等臨時措置法」による輸入抑制で、輸入に依存していた肥料や農薬は、入手が制約されるようになった。過燐酸石灰・硫酸加里・硫酸ニコチンなどがそれにあたる。昭和一四年には、物資動員計画によって、「肥料配給統制規則」、「肥料消費調整規則」が施行されて配給制になった。配給は、主食優先の傾斜配分となり、果樹は不急作物として、生産に必要な配給が得られない状態で、しかも年を追って配分が減少した。昭和一五年農薬・農機具の配給統制実施となり、これも主食増産に振り向けられて、次第に病虫害防除に支障が出るようになった。昭和一六年「臨時農地等管理令」及び「農地作付統制規則」が公布され、果樹は不急作物と認定されて、新植が禁止されることになった。また同年「農業生産統制令」によって、主食優先の生産体制が強行される一方、果樹栽培の管理作業などは、手抜きもやむを得ないこととなった。昭和一九年に至って、地方長官命令にもとづく果樹園の二割伐採と甘藷作付けが強行されることになって、果樹生産の急激な衰微後退が生ずることになった。