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愛媛県史 社会経済1 農林水産(昭和61年1月31日発行)

一 名駒の小ミカン


 越智郡吉海町名駒の矢野マツエ所有の小ミカンは、一本で一〇a以上にまたがり、巨木で知られている。親株から四方に繁茂した枝が地上に接し、二〇余株がとり木で根を生じている。株は二つの同心円状に群生している。そのいずれも一本の親株から分かれたものであり、樹勢はきわめて旺盛で収量も多い。葉つきミカンとか、名駒ミカンの名で、正月用に相当量が市場に出荷(昭和五八年四t)されている。名駒ミカンは、倭寇が華南から導入したものらしい。藩政時代には今治藩主に献上するので、肥料にする海藻は、どこのを採ってもよかったという(一九五二年名駒区長矢野重信談)、昭和二七年の調査では、三〇〇年生が八本と一〇〇年生以上のものが五〇本ほどあった。(昭和二三年一〇月二八日愛媛県天然記念物に指定)