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愛媛県史 社会経済1 農林水産(昭和61年1月31日発行)

第四節 耕地と利用状況


 『親民鑑月集』の七章「一両具足付田畑夫積りの事」によると、領内の中核的農家である一両具足(在郷武士)の平均的耕地は、田一町、畑二反五畝、合計一町二反五畝で、この田畑は次のように利用されている。作物は水田地帯のため米麦が基幹となっているが、豆類がこれに続き、特用作物、樹木(果樹を含む)が一反歩と、野菜類が五畝の畑で栽培されている。
 以上のように標準農家の平均的な耕作地は一町二反余であるが、畑地にはこの二反五畝のほかに前段で見た多種多様の豊富な野生植物(準野菜、準果物)の採集地であった広大な山野があったことを考慮する必要がある。準野菜・準果物の宝庫であった山野は、熟畑に準ずる耕地の一部と見るべきであり、生活資材を収得していた実際の圃場(土地)は、この二反五畝より、はるかに大きいものであったことが考えられる。


表1-1 一両具足の耕作地

表1-1 一両具足の耕作地


表1-2 同上作付面積

表1-2 同上作付面積