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愛媛県史 地誌Ⅰ(総論)(昭和58年3月31日発行)

1 需要の現状

 石油製品偏重の需要

 愛媛県における最近のエネルギー最終需要は、約五四兆五五五七億キロcalで、石油に換算すると約五八一万キロリットルになるといわれる。これを二〇〇リットル入りのドラム缶に計算しなおすと、何と二九〇五万本となって、県内の企業や県民は、これほど大量のエネルギーを一年で消費している。また、全国のエネルギー需要量と対比すると、国民一人当たりの消費量平均四キロリットルに対して、愛媛県のそれは三・八キロリットルとやや少ない。しかし、全国総人口の一・三%しかしめていない愛媛県は、エネルギー需要では一・四%をしめる。これは、産業用の需要が多いことを物語っている(昭和五五年度)。
 県内需要量を電力をはじめエネルギー供給源の種別からみると、圧倒的に多いのが石油で約五五%をしめ、次いで電力が四二%をしめて、この二つの供給源が全体の九七%にも達する。液化天然ガス(LPD)や都市ガスは僅かにすぎない。石油のうち、その二分の一を占めるのは鉱工業に需要の多いB・C重油で、同じくガソリンや農林水産業に需要が多いA重油などがこれにつぐ(表5-4)。

 需要の部門別構成

 県内のエネルギー最終需要がどのような部門から成りたっているのか、つまり消費のありかたを産業用、運輸、民生用などについてみてみよう。
 昭和五五年度では、総計の六八%が鉱工業と農林水産業など産業用が占め、とくに鉱工業が圧倒的に多い。ついで民生用が二二%、運輸用が一一%となっている。民生用では家庭用と業務用がほぼ同じ割合である。しかし、これら部門別の割合も供給資源別にみると著しい相違がある。
 先にもふれたように、石油製品を圧倒的に消費しているのは鉱工業であって、製品別にみるとB・C重油とガソリンにおいて著しい。農林水産業は総計のわずか四・六%しか占めていないが、A重油ではおよそ半分の消費となっている。これに対して、民生用では、家庭用が液化天然ガス(LPG、プロパン)り六○%を占めるほか、灯油や都市ガスでも過半を消費している。薪のような自給資源が、いまだに家庭用にのみ使われていて、しかも総需要では全く無視できるほどの存在となったのは、燃料革命の進展の結果である。業務用では、都市ガスや電力、液化天然ガスが多い。運輸用では、航空機用のジェット燃料は特殊用途で例外として、軽油をはじめガソリン、A重油などに多い。

表5-4 愛媛県のエネルギー需要(昭和55年度)

表5-4 愛媛県のエネルギー需要(昭和55年度)