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愛媛県史 地誌Ⅰ(総論)(昭和58年3月31日発行)

6 河川の総合開発

 総合開発     

 河川総合開発事業は、洪水調節をはじめ、農業用水・工業用水・上水道用水及び発電などの目的の必要性に応じて実施されてきた(表4-12)。地域的にみると東予地方では、東予新産業都市建設を軸として、蒼社川、加茂川総合開発事業により昭和四五年度に玉川ダム、昭和四七年度に黒瀬ダムがそれぞれ完成した。
 伊予三島市、川之江市地区については、地場産業である製紙業の著しい発展と都市化現象による各種用水の需要が増加し、水不足をきたしている。吉野川総合開発事業の一環として水資源公団により、昭和五〇年度に早明浦ダム、五一年度には新宮ダムが完成し、銅山川から分水し、大きな成果を得ている。なお、ひきつづき既設柳瀬ダムの上流には、建設省直轄工事として富郷ダムを実施調査中である。
 中予地方では、農林省道前道後平野農業水利事業として、面河ダムが昭和四二年度に完成している。また中央都市圏建設の一環として、松山市の人口増加による生活用水確保と洪水調節、特定灌漑に対応する目的で、昭和四七年度、石手川ダムが完成し、現在供給を開始して大きな成果をあげている。
 南予地方では、肱川に昭和三三年度に鹿野川ダムが完成し、さらにこの上流には生活用水、農業用水の水源確保と洪水による被害軽減を図るため、建設省直轄工事として野村ダムが五六年に完成した。また、須賀川には五一年度須賀川ダムが完成し、宇和島市の洪水による被害防止と、上水道用水の供給開始による断水の解消など大きな効果をもたらしている。さらに、岩松川には五五年度完成した山財ダムがある。これにより洪水による被害軽減と、津島町ほか一市一村の生活用水・農業用水の確保に大きな効果が期待されている。野村ダムを中心とした南予用水の完成が待たれるところである。


表4-12 愛媛県の河川総合開発事業一覧表(事業完了したもの)

表4-12 愛媛県の河川総合開発事業一覧表(事業完了したもの)