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愛媛県史 地誌Ⅰ(総論)(昭和58年3月31日発行)

7 険しい山地と山あいの盆地

 四国山地の地形

 西南日本帯に属している中央構造線以南の土地は全体に山がちで、特に、中央構造線に近い四国山地北部には、石鎚山を主峰とする高峻な山々が連なっている。すでに第一節において述べたように、これらの山々のうち瓶ヶ森や堂ヶ森、西側の皿ヶ嶺などの頂上付近には、周囲の険しい山地斜面に囲まれて、古い時代に形成された準平原の名残りと考えられる浸食小起伏面が存在している。
 四国山地北部の山地・山脈の走向はほぽ東西方向で、これらは松山市の南東に位置する三坂峠(七二〇m)(写真2-24)から石鎚山を経て笹ヶ峰(一八五九・七m)までのびる石鎚山脈、笹ケ峰から赤星山(一四五三・二m)までの赤石山脈、赤星山以東の法皇山脈に細分される。なお、三坂峠以西の伊予灘海岸に沿ってのびる山地は出石山脈とよばれている。
 外帯の山地は全体として西部および南部で低くなる傾向をもっていて、大洲市西部の神南山(七一〇m)や宇和島市北東部の泉ヶ森(七五五m)(写真2-25)のように発達した谷によって周囲の山地から独立し、孤立丘化したものもある。また、山地は海抜高度が低くなるにつれて全体的に穏やかな地形となるが、宇和島市南東部にそびえる鬼ヶ城山(一一五一m)は、ホルンフェルス(接触変成した変成岩の代表的なもの)化した四万十層群の砂岩・泥岩や、新第三紀の花崗岩類などから成っていて、周辺の地域に比べると比較的けわしい地形となっている。
 神南山から南の御在所山(六六九m)にかけての山地を神南・御在所山山地とよび、鬼ヶ城山の北の高月山(一二二九m)から南の篠山(一○六五m)にかけての山地を高月・篠山山地とよぶ。更に、東宇和郡と北宇和郡ととの境界である法華津峠付近に東西に連なる山脈を法華津山脈とよぶ。

 外帯の盆地と海岸

 これらの山地や山脈を刻んで流れる河川には、伊予灘に注ぐ肱川とその支流、面河川など土佐湾に注ぐ仁淀川の支流、四万十川に合流する吉野川とその支流、宇和海に注ぐ小河川などがある。各河川の流域には、久万盆地をばじめ、内山盆地・大洲盆地・宇和盆地・野村盆地・鬼北盆地などの小盆地が発達している。このうち、久万盆地とその周辺の地域は、海抜高度が高い割にぱ比較的なだらかな地形を示しており、久万高原とよばれることもある。
 佐田岬半島以南の宇和海に面した地域ば、出入りの多い複雑なリアス海岸となっていて、この地域の土地が全体的に沈んだことを示している。湾の奥に小規模な低地がみられるほかは、大部分が岩石海岸となっており、由良半島や日振島など、極度に幅のせまい半島も多い。