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愛媛の景観(平成8年度)

1 そびえたつ峰-石鎚山-

 西日本の最高峰石鎚山(最も高い天狗岳は標高1,982m)は、西条市、周桑(しゅうそう)郡小松町、上浮穴郡面河(おもご)村の境界にそびえ、その秀麗で嶮岨(けんそ)な姿は、東予、中予を中心に県内各地から望むことができる(*3)。
 山頂は、結晶片岩(けっしょうへんがん)を貫いて噴出した柱状の安山岩(あんざんがん)から成り、見る方角によって、屏風(びょうぶ)を立てたようにも(西条市、東予市方面)、鋭い槍(やり)の穂先のようにも(石鎚スカイライン方面)見える(口絵参照)。万葉の歌人山部赤人(やまべのあかひと)(8世紀の人。生没年不詳)は、その険しく神々しい姿を「伊豫の高嶺(たかね)」と歌っている(*4)。
 石鎚山はまた、わが国7霊山(*5)の一つとして知られ、古来、多くの人々の尊崇を集めてきた。現在も、7月1日から10日までのお山市(お山開き)の期間中は、全国から集まる参詣者で大いににぎわっている。昭和30年(1955年)11月には、面河渓などとともに石鎚国定公園に指定され、県下有数の観光地として脚光を浴びるようになった。昭和43年(1968年)の石鎚ロープウェーの開通(西条市西野川・成就者(じょうじゅしゃ)間、所要時間8分)や昭和45年の石鎚スカイラインの開通(面河村関門・土小屋間、総延長18.1km)により、徒歩に頼っていた石鎚登山はより手軽なものとなり、石鎚山は、わたしたちにとってより身近な山となった。


*3:校歌に石鎚山を歌いこんでいる学校の数は、100校に達するといわれている(①)。
*4:『万葉集巻3』の「山部の宿禰赤人が、伊豫の温泉に至り手作れる歌一首」の中にあり、「伊豫の高嶺」は、一般に石鎚
  山と解されている(②)。
*5:1番:駿河國富士山(静岡県)、2番:越中國立山(富山県)、3番:出羽國羽黒山(山形県)、4番:加賀國白山
  (石川県)、5番:大和國大峰山(奈良県)、6番:伊豫國石鎚山(愛媛県)、7番 伯耆國大山(鳥取県)の7つを
  指す(③)。