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臨海都市圏の生活文化(平成7年度)

第3節 海の恵みを生かす

   「瀬戸の海は、寛(ゆるやか)で広い。
    瀬戸の海原は、愛媛の豊饒(ほうじょう)を象徴する。」
               『生活文化県宣言』(平成3年4月1日)より

 愛媛県の総面積は全国第25位であるが、その海岸線は1,626kmにもおよび、北海道、長崎、鹿児島、沖縄に次いで全国第5位の長さとなっている。これは全国の約5%、四国の約48%を占める距離である。そしてこの長い海岸線が、好漁場の宇和海・瀬戸内海の両海域に面していることを考え合わせるならば、冒頭に紹介した「生活文化県宣言」が示すとおり、愛媛がいかに古くから海と付き合い、また海からの恵みを多く受けてきたかを想像することは容易であろう。
 この節では、このような愛媛の豊富な海産物を生かした地場産業の中から、「1 削り節」(伊予市)、「2 珍味(ちんみ)」(松前(まさき)町)、「3 かまぼこ」(宇和島市)の三つを取り上げ、これらの産業が、地元に根づいていく一方で全国レベルへと発展していった様子と、それを支えた地域の人々の生活とのかかわりを探ってみた。また、それらを通して見えてくる、日本人の食生活の移り変わりの一端にも言及した。