データベース『えひめの記憶』
臨海都市圏の生活文化(平成7年度)
(2)海に生きる若者のロマン-海が好きだ!-
現在(平成7年)、波方海員学校では、1年生80名、2年生76名、計156名の若者が、海に生きる日を目指して学科や実技の習得に励んでいる。今春入学した1年生を代表して、次の皆さんから本校志望の動機や学生生活、将来の抱負について語ってもらった。
**さん(今治市常盤町 昭和46年生まれ 24歳)
**さん(越智郡波方町 昭和51年生まれ 19歳)
**さん(広島市南区似島町 昭和51年生まれ 19歳)
**さん(東京都葛飾区新小岩 昭和48年生まれ 22歳)
**「わたしは、いったん東京農業大学へ進学し、農業経済学科を卒業したのですが、父が海運会社を共同経営しているの
で、将来船員になって海の世界に生きようと思い入学しました。」
**「ぼくは地元の波方町の生まれですが、ここは船どころですから子供のころから船にあこがれていました。家族も船員の
進路に賛成してくれました。」
**「父が海運業を営み、468トンの貨物船に乗り組んでおりますので、将来後継者になろうと思いました。祖父も機帆船に
乗り組み、海運業を営んでいましたので、ぼくが3代目を継ぐつもりです。」
**「わたしは小さいころから海が好きでした。波方海員学校のことは高校時代に雑誌で知りました。東京の高校を経て専門
学校に進学したのですが、やはり海にあこがれて入学しました。家族も理解してくれています。」
**「学校生活は結構楽しいです。学科は理系科目が多く、高校時代には私立文系クラスに属して理科をほとんど学習しな
かったから、むつかしいです。科目は『航海』が好きです。」
**「最初はとまどいもありましたが、大分慣れてきて楽しくやっています。ぼくは寮に入っていますが、寮生活はいろいろ
な友人ができ、人間関係も分かって勉強になりますし、楽しくやっています。学科は初めての専門科目がむつかしいです
が、『運用』などに興味を持っています。」
**「初めは今までやったことのないこともあったので、とまどいましたが、友人もでき、かなり慣れてきました。寮生活も
楽しいです。学科は電気系統がむつかしいですが、科目は『運用』が好きです。」
**「学校生活では女子としてのハンディは感じません。カッター訓練も楽しいです。ただ学科はすべてがむつかしいので大
変ですが、『航海』の科目が好きです。」
**「父から『10年くらいは修業して家に帰るな。』と言われていますので、貨物船の経験を積むつもりです。将来は父の
船会社の仕事をいっしょにやりたいと思います。」
**「ぼくは、この地方でフェリーに乗りたいです。」
**「船員の修業、経験を多く積んで父の海運業を継ぐつもりです。」
**「わたしは、東京方面でフェリーに乗りたいです。」
**、**、**「後輩には、海に生きるという目標を持って来てほしいと思います。船に乗る気を持ってくれば大変勉強に
なるところです。」
**「女子は何かと大変なことが多いので、本当に来たいのなら、それなりの覚悟をして本気でやる気持ちで来てほしい。2
年間耐えられるかどうかということです。」
波方海員学校の校長は、「波方海員学校の生徒は、しっかりした目的意識を持っていますので、日常の生活指導でも問題がありません。やはり、船員を目指すからには、規律正しい生活習慣の大切さを自覚して学校生活を送っています。わたしたちも、将来船員としての技能と、人間として恥ずかしくないシーマンシップの育成に努めております。現在2年生は、運輸省の大型練習船に乗船して3月から12月まで航海訓練を行い、乗船実務履歴としておりますが、半年後には見違えるようにたくましくなって帰ってきます。」と語っている。
短時間ではあるが、4名の座談会から未来の内航海運を担う国立波方海員学校の使命感あふれる教育と、海に生きようとする若者の姿が、よくうかがわれた。