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臨海都市圏の生活文化(平成7年度)

4 生活実態(品目別消費購買圏)

 米、野菜等10品目について、おもにどこで購入するかを尋ねた結果、毎日の生活に欠かせない食料品では「自分の住む市町村で購入(自給も含む)する。」の割合が70%を超え、これまでの4地域と同様の結果になった。ただし、調査した複数の市町村のデータをまとめて処理しているので、「臨海都市圏」全体としてとらえたり、他地域との比較についてはそれ以上を論ずることはできない(図表15参照)。
 そこで、さらに細かく、品目別の消費購買地を市町村別に見てみると、都市近郊にあってベッドタウンとしての性格を帯びつつある、松前町(松山市の近郊)、玉川町、朝倉村、大西町、波方町(以上、今治市の近郊)などでは、食料品の購入もそれぞれの地域の中核都市に依存している様子が見られ、肉や鮮魚でとくにその傾向が強いようである(図表16参照)。
 また、土居町のように伊予三島・川之江圏と新居浜圏の中間に位置する場合は、両方に分散しており、マイカーの普及に加えて、大規模なショッピングセンターの出店が相次ぐ中での商圏の広域化の影響を、読み取ることができる。さらに、川之江市では、衣料品(10.4%、以下単位省略)、化粧品(6.3)、家具(8.3)、貴金属(8.3)の4品目、伊予三島市でも、衣料品(10.0)、家具(6.0)の2品目で、それぞれ県外のシェアが10%に迫っており、高速道路網の発達による、県域を超えた商圏の広域化の進行を物語っている。
 さらに、伊予市の商圏に含まれている双海町に焦点を当てて伊予市・松山市との関係を見てみると、食料品は伊予市で購入しても、衣料品などはさらに大きな商業地域である松山市に依存していることがわかる。このほか、化粧品における通信販売のシェアが、松前町(8.0)、北条市(6.8)、菊間町(6.8)の3市町で3位を占めるなど、消費活動の多様化を反映した結果も見られた。
 大型店の進出、商圏の広域化、消費者の指向の多様化など、商業を取り巻く状況が複雑になっていく中で、中核都市がにぎわい、周辺の商店街が空洞化する傾向も見られるようになった。物の動きが停滞することによって、人の流れ、ひいては文化の流れが滞ることのないように期待したい。

図表15 商品購買における居住市町村の占有率(品目別・地域別)

図表15 商品購買における居住市町村の占有率(品目別・地域別)


図表16 品目別の主な購買地(市町村別)

図表16 品目別の主な購買地(市町村別)