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臨海都市圏の生活文化(平成7年度)

2 人々の気質と意識

(1)3予人気質との比較

 『県民性に関する世論調査』(愛媛県、1989年)によると、下の四つの選択肢を基準にした愛媛県の3地域(東中南予)の気質を、それぞれ次のように規定している。

『県民性に関する世論調査』の選択肢
  1 りこうで目先がきき、よく働いて仕事を楽しむが、多少計算高い。
  2 人あたりがよく、気がよい人といわれ、物静かであるが、少しちゃっかりしている。
  3 温和で人情味に富み、物事に慎重であるが、消極的である。
  4 豪放で生気に富み、調子がよいが、細かいところに気がつかないところがある。


  東予人気質 「1 りこう・計算高い」の割合が最も高い。
  中予人気質 「2 気がよい・ちゃっかり」の割合が、東予・南予より高い。
  南予人気質 「3 人情味・消極的」の割合が圧倒的に多い。

 これまでの調査では、『瀬戸内の島々』『宇和海』『県境山間部』の3地域が(『宇和海』以外は東予・中予も対象地域に含まれているにもかかわらず)、南予人気質と一致する結果となり、『河川流域』では中予人気質と南予人気質の中間的な結果になっていた。それに対して「臨海都市圏」の結果は、「りこう・計算高い」24.8%、「気がよい・ちゃっかり」22.2%、「人情味・消極的」41.8%、「豪放・細かくない」7.3%となり、全体としては中予人気質に最も近くなった(図表7参照)。
 さらに各市町村別の気質の結果を、「りこう・計算高い」の高い順に上段から、「人情味・消極的」の高い順に下段から並べ替えて見てみると、東予地域の中でも、伊予三島市と今治市では、東予人気質がとくに顕著であり、大西町や新居浜市なども東予人気質の傾向が見られた(図表8参照)。しかし、地域的には東予であっても、川之江市、波方町、土居町、菊間町は中予人気質に近く、朝倉村と玉川町にいたってはほぼ南予人気質と言える結果となった。後者の2町村はいずれも海に面しておらず、全般的な「臨海都市圏」とは異なる気質が育まれているものと思われる。

(2)県人意識

 『県民性に関する世論調査』(愛媛県、1989年)では、「愛媛県人だという意識を持っているか。」という問いに対して64.7%の人が「意識する」と答えているが、今回は54.2%と、やや低い値となった。また、これまでの4地域と「県人意識指数」を比較してみると、「臨海都市圏」の12.6という結果は、『河川流域』の14.5に次いで高いことがわかった(図表9参照)。
 県人意識指数を市町村別に比較してみると、全般にほぼ同じような傾向であるが、松前町(33.7)と波方町(32.0)の2町が高く、川之江市(-16.7)と朝倉村(-16.3)の2市村が低いのが際立っている(図表10参照)。

(3)考え方・生き方

 17項目の設問から、「臨海都市圏」の人々の考え方や生き方を探ったが、市町村間の差が大きく、臨海都市圏全体としてはとらえにくい結果であった。
 とくに、「昔からある祭りや、ひな祭り、五月の節句などの行事は大切にしている。」「宗教や信仰に関する事柄はほとんど何も信じない。」「まわりの人が着ていなくても自分が似合うと思った服装をする。」「物質的には豊かになったので、今後は心の豊かさに重きを置きたい。」「政治や社会の動きには他人よりも関心がある。」などの設問での差が大きく、都市生活と市民の意識の多様性をうかがわせる結果となった。なお一層の十分な考察が必要であると考えられる。

図表7 人々の気質(地域別・東中南予別)

図表7 人々の気質(地域別・東中南予別)


図表8 人々の気質(市町村別)

図表8 人々の気質(市町村別)


図表9 県人意識(地域別)

図表9 県人意識(地域別)


図表10 県人意識指数(市町村別)

図表10 県人意識指数(市町村別)