データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

臨海都市圏の生活文化(平成7年度)

3 お接待の文化

 「接待」は仏家(ぶっけ)(仏教徒)の布施の一つとして、『路上に湯茶を用意し、往来の人にふるまうこと』(広辞苑)とある。
 風早地方(北条市)は、八十八か寺を巡拝する四国遍路の道筋にあたり、五十三番札所の円明寺(えんみょうじ)(松山市和気)から五十四番札所の延命寺(えんめいじ)(今治市阿方)への中間に位置し、鴻の坂(こうのざか)と新開(しんかい)(北条市)には、中務茂兵衛(なかつかもへえ)(1847年~1922年、四国八十八か寺巡拝280回余)が建てた道標(みちしるべ)が今も残っている。
 かつて、県指定天然記念物であった「遍路松」と「大師松」の、ありし日の面影を追い求める中で、この地に根付いた「接待」の心が、今も人々に受け継がれているように思えた。